昨年4月、悲願の国際化を果たした神戸空港。初年度の国際線旅客数は約53万人に達した。神戸市内のインバウンド(訪日客)の宿泊者数が過去最高を記録するなど、波及効果も広がっている。2030年に予定されている国際定期便の就航に向け、さらなる成長局面に入りつつある。(末永陽子)

大韓航空やスターラックス航空の機体が止まる国際線の駐機場=神戸市中央区、神戸空港(撮影・吉田敦史)

 神戸空港は2006年に神戸市が設置した。18年4月から関西、大阪(伊丹)両空港を担う関西エアポートグループが運営を引き継いだ。

 急増するインバウンドの新しい受け皿として、25年4月に中国、台湾、韓国と結ぶ国際チャーター便が就航。旅行会社が機体を借り切る形だが、実質的な定期便となっている。

 日中関係の冷え込みにより、今年に入り中国便は全便が運休。その枠を韓国や台湾の便が埋め、今年8月の旅客数は単月での過去最高を1年ぶりに更新するなど足元では好調が続く。

拡張した神戸空港第2ターミナルビルのイメージ(神戸市提供)

 国際路線を担う第2ターミナルビル(T2)の出国後エリアには当初、免税店が1店舗だけだったが、その後にドラッグストアや土産店、喫茶店、ラウンジがオープン。利便性が高まりつつある。

 大阪や京都に比べてインバウンドが伸び悩んでいた神戸だが、国際化が宿泊増加にも寄与している。市の外郭団体・神戸観光局によると、25年に市内のホテルや旅館に宿泊した人は延べ778万7千人(確定値)。前年より9・1%増え、2年連続で過去最多を更新した。そのうちインバウンドは前年比43・4%増の135万3千人だった。国際都市としての求心力をさらに高めようと、神戸市は30年に向け東南アジア各国への路線開設を狙う。

 関西エアポートの三上康章社長は神戸空港の魅力について「都心から近い利便性」などを挙げた上で、国際定期便について「3空港が一体となって関西のグローバル化を後押しできるよう、引き続き関係機関と話し合いを進めていく」と意欲を見せた。

■国際化実現 ポテンシャル急上昇 関西学院大学総合政策学部 松本秀暢教授

 神戸空港の国際化から約1年半が過ぎた。国際交通論などを専門とする関西学院大総合政策学部の松本秀暢教授(57)は「国際化が実現し、神戸空港のポテンシャルが一気に高まった」とみる。

 特に立地を強みに挙げる。世界では3空港以上が存在する都市圏が少ない中、関西では3空港が大阪中心部から約50キロ圏内にある。

 観光都市であるイタリアのミラノやスペインのバルセロナ周辺にはそれぞれ三つの国際空港があるが、関西ほど近距離に集中していないという。「利便性の高い3空港を効果的に活用することで、関西全体の国際競争力を高めることができる」と分析する。

関西学院大学の松本秀暢教授=神戸市中央区東川崎町1(撮影・丸山桃奈)

 さらに、関西はオランダ1国に匹敵する経済規模を持つことから「3空港は決して多くない」と断言。「訪日客が神戸空港から出入国できるメリットは大きい。姫路城や灘五郷など、県内で多くの観光資源を楽しんでもらう工夫が必要」とも提言した。

 また、防災面にも言及。「国によって理想の空港システムは異なる」とし、「日本は細長い地形で、自然災害も多い。機能を一つのハブ空港に集中させるより、首都圏と関西に分散させるのが理想的。そういう意味でも関西の空港に求められる役割は大きい」とも述べた。

 2030年には、神戸空港に国際定期便が就航する予定だ。「その時点でどの程度路線を拡充できるかが勝負どころ」と指摘し、東南アジア路線の拡大にも期待する。「シンガポールとつながれば、インドへの乗り継ぎが可能になる。神戸にあるインド人コミュニティーの需要もつかめるし、ビジネス利用も取り込めるのでは」と語った。