1868(明治元)年に誕生した兵庫県。「令和」の時代を迎えても、地域性を生かした進化を見せる。姫路市にはスポーツ・文化の交流拠点となる大型アリーナがお目見えし、淡路島には心身の健康などをテーマにした施設が誕生。旧五国の特色を残しつつも、新たな魅力を発信する。
■姫路「大和工業アリーナ」/姫路市・岡本裕副市長 交流と観光、播磨の新拠点に
JR姫路駅の約1・8キロ南西にある、手柄山。標高49メートルの小さな山の麓に10月、播磨最大規模の大型複合スポーツ施設「大和工業アリーナ姫路」(姫路市)が開業した。
約5千人を収容できるメインアリーナや日本水泳連盟公認の屋内50メートルプールを備えながら、レジャープールなど市民向けの設備も充実する。ユニバーサルデザインにも力を入れた。行列ができやすい女子トイレは、男子トイレの案内板を一部入れ替えたり、壁を移動させたりして転用し、混雑を緩和する。姫路市の岡本裕(ゆたか)副市長は「スポーツ、文化の交流拠点であり、家族連れがレジャー利用もできる。多世代が多用途で活用できる施設になった」と胸を張る。

ただ、アリーナは県内外に多数ある。収容人数では、約1万人の「ジーライオンアリーナ神戸」(神戸市)に及ばない。どのように特色を出すのか。ヒントは、手柄山一帯にあるという。
アリーナに隣接するヴィクトリーナ・ウインク体育館は2028年に改修を終え、大規模大会開催時には練習会場などに使える。周囲には陸上競技場や野球場もあり、複数競技を同時開催できる。岡本副市長は「(アリーナの)点だけでなく、(手柄山一帯の)面で大規模、多彩な大会ができるのが強み」と強調する。

新アリーナを運営するミズノ(大阪市)は利用者61万人を年間目標に掲げる。9月に行われたプロスポーツの試合や音楽ライブには連日4千~5千人が詰めかけた。「観光消費額の増加や滞在型観光の促進、周遊観光にもつなげたい」と岡本副市長。姫路、播磨地域の新たなランドマークに期待を寄せる。(真鍋 愛)

■淡路「ネイチャーバース リトリート」/パソナグループ・山本絹子副社長 心身整う長期滞在施設目指す
淡路島の玄関口、明石海峡大橋のたもと近くに今年6月、新たなランドマークが誕生した。「ザ パソナ ネイチャーバース リトリート」(淡路市)。半円形の建築が目を引く、長期滞在型の施設だ。
手がけるのは、島で地方創生事業を展開する総合人材サービスのパソナグループ(東京)。創業50年の節目を迎え、新たな事業の柱として掲げる「ウェルビーイング(心身の健康)」産業の核となる施設として、「ザ パソナ」を建設した。

クリニックを併設し、食や運動、睡眠などのプログラムを通して心身の状態を整える-がコンセプト。健康長寿への関心が高まる中、山本絹子副社長は「豊かな自然、食に恵まれた淡路島こそ、この事業の拠点としてふさわしい」と総括する。
付近では大阪・関西万博の遺産を引き継ぐエリアの整備計画も進める。パソナは「人と自然、テクノロジーが共生する真に豊かな社会の実現」を掲げて万博にパビリオンを出展。パビリオンとオランダ館を淡路市に移設し、宿泊施設や飲食、ショッピング施設などを新たに配する。「ウェルビーイングをぎゅっと凝縮した、万博の精神を感じられる場所に」(山本副社長)という。

「橋の先にあるのが、淡路島の良いところ」と山本副社長。「橋を渡ると、日常からスイッチが切り替わる。日々のしんどいことをこの島でリセットし、また生き生きと日常に戻る。そんな流れをつくりたい」
見据えるのは神戸空港の国際定期便就航、大阪の統合型リゾート(IR)開業だ。訪日客の増加が見込まれる2030年に向け、島を世界に発信したい考えだ。(西井由比子)
























