今年で没後90年になる宮沢賢治(1896~1933年)をテーマにした版画展「雨ニモマケズ展」が、兵庫県赤穂市尾崎のたでのはな美術館で開かれている。棟方志功ら7人がそれぞれの感性で、著名な詩「雨ニモマケズ」の世界を表現した約30点が並ぶ。(小谷千穂)
宮沢賢治は童話「銀河鉄道の夜」などで知られる。同館は、版画作家でもある佐野正幸館長(83)がつくった美術館で、棟方志功や徳力富吉郎、高村光太郎ら7人が、詩の一部を挿絵とともに描いた版画の活版印刷を集めた。
仏教や農村での生活など、それぞれが切り取った情景はさまざま。じょうろを手に、雲の上から水をまく雷神や、農民の暮らしをほうふつとさせるかかしや水車、野菜などを描き、作家によって異なる世界観で表現された「雨ニモマケズ」が見られる。棟方の作品は、薬師如来や観音がくっきりとした線で描かれている。
会場では、遺品として見つかった賢治のメモや手書きの原稿用紙などの複製も展示している。
佐野館長は「賢治の人間像とともに、誰もが知る有名な詩をそれぞれの作家がどう表現したか、見てほしい」と呼びかける。
25日まで。午前10時~午後4時。水曜休館。中学生以上200円。たでのはな美術館TEL090・3496・4282