甲南医療センター(神戸市東灘区)の医師、高島晨伍さん=当時(26)=が長時間労働が原因で自殺し、西宮労働基準監督署が労災認定した問題を巡り、高島さんの兄(31)が18日、神戸市会の福祉環境委員会に出席し、意見陳述した。市立病院での労務環境改善や働き方改革の支援などを求めており、「市民の健康を左右する問題で、医療従事者の人権問題」と述べた。
高島さんは消化器内科の専攻医(旧後期研修医)だった昨年5月17日に自宅で自殺。2月6日を最後に休日がなく、労基署が認定した直前1カ月間の時間外労働は、国の精神障害の労災認定基準(160時間)を上回る207時間50分だった。同センター側は「過重労働だったという認識はない」と説明している。
高島さんの兄は先月下旬、市会議長宛てに陳情書を提出。市立病院などでの労務管理の徹底と働き方改革の推進、啓発の実施を求めた。これを受けて行われた陳述で「健全な地域医療を保持するため市が積極的に取り組んで」と訴えた。
同委員会では、市立以外の病院の労務管理について「(現状で)市に権限がない」という意見が委員から挙がり、多数決で陳情を採択するかどうかの審査を打ち切った。(竜門和諒)