3階級を制覇した前世界バンタム級2団体王者の中谷潤人は来年5月、世界スーパーバンタム級主要4団体統一王者の井上尚弥との対戦が見込まれる。井上に続く日本のエースとして大きな期待を背負っている。
三重県の中学を卒業して15歳で単身渡米。本場で腕を磨き、現在も米国で、世界王者を複数育てた名トレーナーのルディ・エルナンデスに定期的に指導を受ける。
現地でのトレーニングは、試合を想定した実戦形式のスパーリング(スパー)がとにかく多い。日本のジムは4ラウンド前後、週2、3回が一般的だが、中谷は8ラウンド以上を週4回。試合と同じ12ラウンドを超える14~16ラウンドや、1ラウンド3分を同9分にして行うこともある。「スタミナや精神力、(試合で)動揺がないようにというルディさんの考えだと思う」と説明する。
スパーによるダメージの蓄積は、事故の一因とも考えられている。試合では攻防一体で大きなダメージは受けていない中谷だが、自身のスパー量の多さから「脳へのリスクはあると感じている」。そこで取り組んでいるのが、自主的な頭部MRI検査だ。昨年2月に王座を獲得した世界ボクシング評議会(WBC)が検査を義務づけていることを機に、試合前などに受け続けている。
練習段階から定期的に自身の脳の状態を把握し、担当医との意見交換も積極的に行う。時には医師が練習に立ち会うこともあるという。「例えばスパー後にどういう症状があるか。僕は結構眠くなる方だと伝えたら、それは脳に疲労がたまっているということだと。本当に細かいことだけど、自分が感じていること、引っかかる部分を先生(医師)に共有してもらい、知識を得ている」=敬称略=(船曳陽子)
























