子どもの歯の健康格差をなくそうと、兵庫県は県内7市町の認定こども園や幼稚園、保育所を対象に、フッ素入り洗口液によるうがいのモデル事業を始めた。町内の全7園が事業に参加する播磨町では「いい歯の日」の8日、町立蓮池幼稚園の年中と年長組の子どもたちがうがいに取り組んだ。(田中伸明)
県の2022年度の調査によると、安全な無機のフッ素「フッ化物」を使った洗口の普及などから、県内の5歳児の4人に3人は虫歯が1本もない一方、10本以上ある「口腔(こうくう)崩壊」の子どもも1・6%存在していた。
歯の健康格差の原因は、家庭の経済状況や育児の担い手不足などに加え、歯科医師の偏在など地域事情も指摘されている。口腔崩壊の割合は都市部で比較的低く、県内では但馬、播磨地域などで高い傾向があるという。
新潟県など自治体として洗口に取り組み、虫歯を減らしている成功例があることから、兵庫県は23、24年度の2年間、県歯科医師会などの協力を得て計24園の4、5歳児を対象に週1回うがいを実施。保護者向けの説明会や歯科医師らの研修なども開催した。
蓮池幼稚園では同日、年中組の50人と年長組の40人が参加。県の担当者から歯の磨き方などを教わった後、紙コップに入れてもらった洗口液5ccを口に含み、約1分間うがいをした。終わった後はコップに吐き出し、ティッシュに吸い取って捨てた。
年長組の男児(5)は「音楽に合わせてうがいをするのが楽しかった」、女児(5)は「虫歯になるのは嫌なので歯磨きも好き」と話した。