日が沈み、暗がりが広がっていく駅前で、コンクリート建築が淡い明かりに浮かび上がる。3階建ての重厚なたたずまいはまるで神殿のよう。その正体は、236台を収容する原動機付き自転車専用の立体駐車場だ。
現在、再整備が進められる垂水駅北側には、これまでロータリーがなく、送迎などの路上停車が絶えない課題があったという。それを解決するため、平面だった原付き駐車場を立体にし、1階部分に一般車のロータリーを整備した。
柵のようなもので囲われた外観は、垂水の地名の由来である滝や水の流れをイメージしたという。電車が到着するたび、人々が駅から吸い寄せられる。そして、バイクや車の光跡が丘の上に向かって流れていく。坂の町「垂水」を象徴する建築物だ。(長嶺麻子)