震災時の兵庫県立淡路病院の様子を語る水谷和郎医師=神戸市東灘区向洋町中2、六甲アイランド甲南病院(撮影・内田世紀)
震災時の兵庫県立淡路病院の様子を語る水谷和郎医師=神戸市東灘区向洋町中2、六甲アイランド甲南病院(撮影・内田世紀)

 「先生、人が埋まってる。もうすぐ出せるから、診てくれへんか」

 淡路島、旧北淡町(淡路市)の富島地区。阪神・淡路大震災の発生直後、町役場に向かう道中、北淡診療所(同市育波)の医師井宮雅宏さん(65)は消防団員に呼び止められた。

 女性が戸板に乗せられて運ばれてきた。息がないのは明らかだったが、井宮さんは聴診器とライトで瞳孔と脈拍、呼吸を確かめ、死亡を告げた。「これが最初の検視になりました」