神戸地方裁判所尼崎支部の外観=尼崎市水堂町3
神戸地方裁判所尼崎支部の外観=尼崎市水堂町3

 2023年9月、兵庫県尼崎市内で7人を死傷させる事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた京都府舞鶴市の無職の男(45)の判決公判が9日、神戸地裁尼崎支部であり、田中健司裁判長は懲役3年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。

 判決によると、男は23年9月23日午前11時ごろ、尼崎市神田中通2の市道で、持病の統合失調症の影響で正常な運転に支障が生じる恐れがあったにもかかわらず軽乗用車を運転し、正常な運転が困難な状態に陥って対向車線に進入して自転車の男性=当時(62)=をはねて死亡させた。この前後にも、乗用車やミニバイクと4件の衝突事故を起こし、計6人に重軽傷を負わせた。

 田中裁判長は判決理由で、事故前には交通法規や信号表示におおむね従って運転していたことや事故前後の行動をある程度記憶していたことなどを指摘。「犯行時、善悪を判断する能力およびそれに従って行動を制御する能力を完全には失っていなかったが、著しく減退した心神耗弱状態にあった」と述べた。

 一方、運転中に幻聴の症状が現れていることを認識したにもかかわらず、運転を続けて事故を起こしており、「犯行時に心神耗弱にあったことを踏まえても相応の非難は免れない」とした。