当時の写真を見ながら、阪神・淡路の記憶を語る小笠原和美さん=東京都府中市
当時の写真を見ながら、阪神・淡路の記憶を語る小笠原和美さん=東京都府中市

 阪神・淡路大震災の直後、神戸市長田区の遺体安置所では連日、兵庫県警の警察官が検視にあたった。その現場に、損傷の激しい遺体を目の当たりにしても、決して目をそらさなかった若い女性警察官がいた。

 私たちはその女性に話を聞かせてもらおうと、東京都府中市にある警察大学校を訪ねた。全国から集まる警察幹部の養成所だ。県警に配属された初の女性キャリア、小笠原和美さん(53)=東京都=は、ここで「特別捜査幹部研修所長」を務めている。

 「この仕事をしていくために、見なきゃいけないと思ったんだよね。全部」。小笠原さんが30年前の記憶をたどってくれる。当時は警察庁に入庁し、まだ1年目だった。