150年前の時刻表と注意書き(右は「鉄道古文書」、左は「復刻版明治鉄道開業時刻表」より)
150年前の時刻表と注意書き(右は「鉄道古文書」、左は「復刻版明治鉄道開業時刻表」より)

 今年で開業から150周年を迎えた鉄道の神戸-大阪間。正式には1874(明治7)年5月11日、西日本で初めての列車が神戸を出発した。その直前、国の鉄道管轄機関(工部省鉄道寮)が乗客向けに作ったと思われる書面が存在する。手書きの書面は一部の間で知られていたが、西宮市の鉄道愛好家が今年4月、活版印刷の写しを新たに発見。初の列車運行に当局が神経をとがらせる様子などがうかがえる。(安福直剛)

手書き版とは微妙に異なる

 印刷の書面には時刻表のほか、鉄道に乗る際の注意事項が細かく記され、犬や荷物の運賃、喫煙・禁煙車の存在も分かる。興味深いのは、手書き版では記されていない住吉と神崎(尼崎)の両駅が印刷版では加わり、逆に運賃表が印刷版では削られるなど微妙に異なる点だ。末尾に「明治七年五月 鉄道寮」と書かれているのは共通する。

 手書き版は「復刻版明治鉄道開業時刻表」(新人物往来社)として世に出ていたが、印刷版は「鉄道史資料保存会」の高橋健司さん(67)が偶然発見した。明治前期の鉄道行政などが記された重要文化財「鉄道古文書(こもんじょ)」を宮内庁で調べていたところ、京都駅周辺の項目の中にあったという。