兵庫県知事選が17日投開票され、前知事の斎藤元彦氏(47)が再選を確実にした。過去最多7人による争いで100万票以上を獲得し、前尼崎市長の稲村和美氏(52)に競り勝った。告発文書問題で混乱した県政のかじ取りは再び、斎藤氏が担う。投票率は55・65%と2021年の前回に比べて14・55ポイント上昇した。斎藤氏は19日付で知事に就任する。
斎藤氏は3年前の知事選で初当選。3月に発覚した自らのパワハラ疑惑など告発文書を巡る対応が問題視され、県議会が9月に全会一致で不信任決議を可決した後、斎藤氏が自動失職し出直し選に臨む異例の展開をたどった。斎藤氏に対する県議会や県職員の不信は根強く、再選で県政の混乱が収拾するかは不透明だ。
選挙戦では、3年間にわたる斎藤県政の評価や文書問題の対応の是非、知事の資質などが争点になった。
斎藤氏は、自民党や日本維新の会の推薦を得た前回から戦いが一変。政党支援がない中で、交流サイト(SNS)を積極的に活用した。斎藤氏の再選を目的に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)の側面支援もあり、X(旧ツイッター)のフォロワー数は約2カ月間で5倍以上の18万人超に急増。県議会やメディアを批判しながら、1期目で力を入れた若者支援策の継続などを訴えた。後押しする声は日増しに広がり、序盤の劣勢を覆した。
一方、稲村氏は各政党の推薦や支援を断って「市民派」の立場をアピール。尼崎市長時代の実績などを評価する自民の一部や立憲民主党、国民民主党などの議員のほか、県内22市長が支持を表明した。「対話と信頼」を掲げて「県政の混乱に終止符を打つ」と訴えたが、SNSを中心に支持が広がる斎藤氏の猛追をかわしきれなかった。
前参院議員の清水貴之氏(50)は約12年間所属した維新を離党して「無所属」での戦いを選択。維新の県組織のほかに、自民神戸市議団から支援を取り付けることに成功したものの、支持基盤だった維新票は分散し、狙いを定めた保守票獲得にはつながらなかった。
病院院長の大沢芳清氏(61)=共産推薦=は自民への対決姿勢も見せ、反政権票に狙いを定めたが、及ばなかった。レコード会社経営の福本繁幸氏(58)と立花氏、ニュース分析会社経営の木島洋嗣氏(49)は伸びなかった。(知事選取材班)
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