宝塚大劇場=宝塚市栄町1
宝塚大劇場=宝塚市栄町1

 阪急阪神ホールディングス(HD)は14日、阪急電鉄の一部門だった宝塚歌劇団(宝塚市)について、7月をめどに同社の100%子会社として法人化する、と発表した。同劇団では2023年に俳優の女性が急死する問題があり、透明性を高めてガバナンス(組織統治)を強化する。

 新会社は「株式会社宝塚歌劇団」で、宝塚大劇場のある宝塚市栄町1に本社を置く。4月に設立し、7月をめどに阪急電鉄から劇団の事業を引き継ぐ。取締役の過半数を社外出身者とするほか、劇団の運営を客観的に評価できるよう、内部監査部門を新設する。

 劇団はこれまで、同社の一部門だが、独自の就業規則や意思決定機関の理事会などを持ち、社内で特異な位置付けにあった。

 併せて、業務委託契約だった入団6年目以降の劇団員についても、3月から入団5年目までと同じ雇用契約を結ぶ。1年更新の有期契約を基本とし、今月14日時点で新たに189人が対象となる。24年に西宮労働基準監督署から是正勧告を受け、対応を迫られていた。

 他にも、参加が必須の自主的な稽古を一定の管理下で労働時間として扱うほか、裁量権のない演出助手やプロデューサー補を裁量労働制の適用から外す。

(大島光貴、小尾絵生)

■労働時間の定義、当事者と合意形成を

 日本芸能従事者協会代表理事・森崎めぐみさんの話 これまでタレント契約(業務委託)としていた6年目以降の団員について、雇用契約に切り替えるのは画期的で評価できる。労災保険も適応されるし、雇用側が安全対策を行う義務が生じる。ただ何を労働時間と見なすかについては、当事者との合意形成が必要だろう。最低限の保障も受けにくい芸能従事者の社会的地位向上につなげてほしい。