宝塚歌劇団宙組の団員女性=当時(25)=が急死した問題を受け、昨年10月から中止していた宙組公演が20日、約9カ月ぶりに宝塚大劇場(宝塚市)で再開した。劇場周辺には従来より多くの警備員が配置され、緊張した空気に包まれた幕開けとなった。
女性は昨年9月末に急死し、兵庫県警は自殺とみて捜査。過重労働と上級生らによるパワハラが原因と訴えた遺族の主張を歌劇団側が認め、今年3月末、合意文書を交わした。
パワハラの行為者である上級生らも出演者に含まれるが、歌劇団は「責任を負うべきは歌劇団である」と、団員個人は処分していない。一方、外部有識者でつくる助言機関の設置やハラスメント研修、過密な公演日程の見直しなどを進めているとする。
歌劇団は報道陣が求めた開幕初日の取材には応じず、村上浩爾理事長とトップスター芹香斗亜さんのコメントを各社にメールで送るのみだった。開演前には村上理事長が公演中止や演目変更について「ご迷惑をおかけした」と謝罪。終演後に芹香さんもあいさつしたが、いずれも団員の急死に言及しなかったという。
終演後、長年のファンという60代女性は「ステージは素晴らしかったが、女性へのお悔やみや歌劇団からファンに向けた話もなく、このまま忘れるのを待っているのかと思うと素直に応援できない」と話した。
(小尾絵生、安藤真子)