父米花豊さんの写真を前に、30年前を振り返る多田香葉子さん=姫路市飾磨区
父米花豊さんの写真を前に、30年前を振り返る多田香葉子さん=姫路市飾磨区

 「震災がなければ父はもっと長生きできた」-。姫路市飾磨区の多田香葉子さん(80)の父、米花豊さん=当時(79)=は阪神・淡路大震災の発生2カ月後に関連死で亡くなった。西宮市の自宅が全壊し、避難所生活で体調が悪化。心筋梗塞を発症した。昨年1月の能登半島地震の被災地でも関連死は相次ぐ。多田さんはそうしたニュースに触れるたび、父の無念を思う。(田中宏樹)

 1995年1月の震災発生当時、多田さんの父豊さんと母静枝さんは、西宮市安井町の木造平屋に暮らしていた。自宅は倒壊を免れたものの全壊。2人は1週間ほどそこで生活したが、食料が底を突き、避難所となっていた近くのデイサービス施設に身を寄せた。