兵庫県の告発文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告書の素案が18日、判明した。議会関係者への取材で分かった。斎藤元彦知事のパワハラ疑惑は「おおむね事実と言える」と記載。文書で指摘されていた疑惑を調査せずに作成者を特定した県の対応は「公益通報者保護法違反と考えられる」と評価した。一方、第2会派の「維新の会」(21人)の反対意見や慎重論も付記した。
素案は百条委の奥谷謙一委員長が各会派の意見を取りまとめ、18日の協議会で示した。各会派は持ち帰った上で改めて意見を述べ、次回会合で修正案が示される。早ければ3月上旬にも確定させ、同日開会した県議会定例会の会期中に提出することを目指す。
告発文書では知事のパワハラ疑惑として「出張先で公用車を降り、20メートル歩かされただけで職員をどなり散らした」などと指摘。素案は職員証言から「文書内容はおおむね事実。知事の言動、行動はパワハラ行為とみなされる可能性がある」とした。これに対し、維新会派は「高度な法的知識を必要とする認定は困難。司法判断によるべき」との見解を示している。
公益通報については違法性を指摘した上で、作成者の元西播磨県民局長(昨年7月に死亡)を停職3カ月とした懲戒処分を撤回し、名誉を回復するよう提言。「公益通報に該当するか強い疑念が生じたケースで、通報者の探索を行ったことが違法とまでは断定できない」との維新の意見も記された。(前川茂之、金 慶順)