医療事故について説明する神戸市立医療センター中央市民病院の木原康樹病院長ら=神戸市役所
医療事故について説明する神戸市立医療センター中央市民病院の木原康樹病院長ら=神戸市役所

 神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)は5日、尿管がんの手術後の投薬ミスで、同市の70代男性が死亡する医療事故があったと発表した。

 同病院によると、男性は昨年11月、手術で腎尿管とリンパ節を摘出。病理検査で再発リスクが高いと判断されたため、同12月6日、免疫機能を活性化する免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」(商品名オプジーボ)を投与した。

 同20日の採血検査で、肝酵素が副作用によるとみられる異常値を示し、ニボルマブの中止基準値を超えていたが、30代男性主治医は投与を指示し、薬剤師も異常値に気付けなかった。

 男性は今年1月17日の3度目の投与予定日に、体のだるさなど訴え、黄疸の症状もあったことから、病院側がデータを調べてミスが発覚。男性は2月10日に肝不全などで死亡した。

 病院側の聞き取りに対し、主治医は採血検査で異常値を認識したが、腎臓、甲状腺障害への対処を優先し、「肝障害への対応を失念した」と説明したという。

 病院側はミスと死亡との因果関係を認め、遺族への補償などを検討するという。(斉藤正志)