神戸市の職員労働組合のヤミ専従問題を巡り、市が元組合役員らに退職金の過払い分計4696万円の返還を求めた訴訟の差し戻し審の判決が5日、神戸地裁であった。河本寿一裁判長は、市の退職金の算定方法は違法だったとしつつ「受給者らが違法性を認識していたとは認められない」として市の請求を棄却した。
ヤミ専従問題は2018年に発覚。市職労役員らが給与を受け取りながら長年、組合活動に専従し、市も黙認していた。
市は20年、退職金過払い分の返還を求め、支払いに応じない8人を神戸地裁に提訴。地裁判決は請求権の時効消滅を理由に棄却したが、22年の大阪高裁判決は受給の違法性を判断していないとして一審判決を破棄、神戸地裁に差し戻した。元組合役員らが最高裁に上告したが23年に棄却された。
判決によると、市では法令で定められた上限年数を超えて専従をしても、退職金の算定から除く期間は最長5年(1997年4月以降は7年)とし、それ以上の専従期間は算定に含むという慣行や取り決めがあった。
一方で、その慣行などは組合専従者間で共有されておらず、市から法令の定めなどを説明されていなかったと指摘。河本裁判長は「(受給者らが)違法だと認識することはできなかった」とした。
市は神戸新聞の取材に対し「判決文を精査の上、今後の対応について検討する」とコメントした。

























