例会に集まった「語り部KOBE1995」のメンバー。代表の長谷川元気さん(前列右から2人目)、前代表の田村勝太郎さん(前列右端)らが穏やかな表情を見せる=神戸市長田区若松町4(撮影・中西幸大)
例会に集まった「語り部KOBE1995」のメンバー。代表の長谷川元気さん(前列右から2人目)、前代表の田村勝太郎さん(前列右端)らが穏やかな表情を見せる=神戸市長田区若松町4(撮影・中西幸大)

 優れた業績のあった兵庫県ゆかりの個人・団体を表彰する第79回「神戸新聞平和賞、文化賞、社会賞、スポーツ賞」の受賞者が決まりました。本賞は平和憲法公布を記念して1947(昭和22)年に第1回を発表しました。各界から推薦された候補を本社選考委員会で審査し、各賞1件を選びました。表彰式は6月4日に神戸市内で行います。

【平和賞】

■震災の記憶継承市民グループ・語り部KOBE1995

 阪神・淡路大震災発生から10年後の2005年に発足した市民グループで、被災体験を語り継いできた。兵庫県内の学校や地域だけでなく、全国で活動を行う。語り部の高齢化が課題になる中、肉親を亡くした遺族のほか、震災当日に生まれたメンバーなど幅広い年齢層が所属し、次世代への持続的な記憶の継承に努めている。

【文化賞】

■グラブ製造職人・岸本耕作さん(67)

 スポーツ用品大手ミズノの子会社「ミズノテクニクス波賀工場」で約50年にわたり、野球のグラブを手がける。卓越した技術力で、日米のプロ野球で活躍したイチローさん、松井秀喜さん、ソフトボールで2度の五輪金メダルに輝いた上野由岐子選手ら多くの一流選手を支えてきた。今も第一線を担いながら、後進の育成にも注力する。

【社会賞】

■旧優生保護法 兵庫の被害当事者と支援団体

 障害を理由に強制不妊手術を強いた旧優生保護法は昨年、最高裁判所が憲法違反と判断した。全国運動が展開される中、兵庫からも被害者自らが声を上げ、弁護団、支援団体とともに闘った。国の謝罪を引き出し、補償法の整備を実現させただけでなく、根強く残る差別や偏見の根絶を訴え、共生社会の実現を目指している。

【スポーツ賞】

■飛び込み選手・玉井陸斗さん(18)

 昨夏のパリ五輪男子高飛び込みで銀メダルを獲得。飛び込みで日本人が表彰台に立つのは初めての快挙だった。2019年の日本室内選手権で史上最年少12歳で優勝を果たすなど、早くから頭角を現した日本の若きエース。美しい姿勢と完成度の高い技で、3度目の五輪となる28年ロサンゼルスで金メダルを目指している。