定例会見で質問に応じる兵庫県の斎藤元彦知事=4日午後、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・大田将之)
定例会見で質問に応じる兵庫県の斎藤元彦知事=4日午後、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・大田将之)

 兵庫県の告発文書問題を巡り、告発者の元西播磨県民局長(故人)の私的情報が漏えいした問題で、県議会4会派が申し入れた県の井ノ本知明前総務部長の刑事告発について、斎藤元彦知事は4日の定例会見で「重く受け止めるが、県としての考えは変わらない」と述べて、申し入れを拒否する意向を示した。

 5月27日に報告書が公表された県の第三者調査委員会は、前総務部長が元県民局長の私的情報を県議3人に漏えいしたと認定。「斎藤知事や片山安孝元副知事の指示による可能性が高い」と指摘した。県は前総務部長を停職3カ月とした。

 斎藤知事は関与を完全否定していることから、県議会の自民、維新の会、公明、ひょうご県民連合の4会派が3日夕に「事実関係を明らかにし、解決を図ることが不可欠」と刑事告発を求めていた。

 斎藤知事は前総務部長を告発しない理由として「懲戒処分で社会的制裁を受けていることなどを踏まえた」と説明。また、片山元副知事が3日夕に「(前総務部長の行為は)秘密の漏えいに当たらない」などと反論するコメントを出したことも問われたが、「詳細は知らない」と回答を避けた。

 一方、片山元副知事と前総務部長が「(漏えいは)議会根回しで正当行為」と主張していることに対しては、「私的情報を外部に伝えるのは懲戒処分に該当する行為で、前総務部長の行為は適切ではなかった」と退けた。(前川茂之、井上太郎)