県議会定例会で提出議案などを説明する斎藤元彦知事=2日午前、神戸市中央区下山手通4、県公館
県議会定例会で提出議案などを説明する斎藤元彦知事=2日午前、神戸市中央区下山手通4、県公館

 兵庫県議会の定例会が2日開会し、斎藤元彦知事は、告発文書問題の情報漏えいを巡って2度継続審議となっていた自身らの給与を削減する改正条例案について、現行案を撤回し、修正案を提出した。給与削減の理由として、二つの第三者委員会の調査報告書を踏まえ、部下が情報を外部に漏らすなど適切に管理しなかった知事らの責任を明記した。

 修正案について、県議会の主要会派はおおむね賛成するとしており、定例会最終日の12日に採決が行われる。6月以降、平行線をたどっていた知事と議会の議論がようやく前進する見込み。

 修正案は2026年1~3月、斎藤知事の給与削減幅を現行の30%から50%に、服部洋平副知事については15%から25%に広げる内容。斎藤知事らの疑惑を告発した元西播磨県民局長(故人)の私的情報を、前総務部長が県議に漏えいしたとする第三者調査委員会の報告書などを受け、「情報が適切に管理されなかったことに対する責任を明確にする」と初めて明記した。

 第三者委は今年5月、知事らが漏えいを指示した可能性が高いと報告書で指摘していたが、知事は否定。その上で6月、自身らの給与を削減する改正条例案を県議会に提出していた。しかし、削減理由に責任の所在が明記されず、また知事に対する刑事告発も相次ぐ中、県議会は「事実解明が先」などと反発。県提出議案では初の継続審議とした。

 続く9月開会の定例会でも議論されたが、互いに譲らないまま再び継続審議に。11月、県議会会派の自民党、維新の会、公明党が県幹部に修正案の再提出などを要求し、知事が自らの管理責任を明記した修正案を提出するに至った。

 本会議終了後、斎藤知事は報道陣の取材に応じ、「内容は変わっていないが、組織の長としての責任を明確にする形で技術的な修正を行ったということ」と話し、「情報漏えいに関する指示については、『していない』という認識で変わりはない」とした。

 県はこの改正条例案に加え、総額2兆3861億円の25年度一般会計補正予算案や、交流サイト(SNS)などインターネット上の人権侵害を防ぎ被害者を支援する条例案、住宅再建共済制度(フェニックス共済)を見直す改正条例案など43件を提出。5日に代表質問、8、9日に一般質問が行われる。(岡西篤志、井上太郎)