大阪湾を望む元ゴルフ場の開放感、ビール醸造所併設、サウナ王プロデュース…。神戸市内で本年度、サウナの新規オープンやリニューアルが相次いだ。コロナ禍前のブームは全国的に落ち着いたというが、関西・神戸では今も愛好家たちの「サウナ熱」が上昇中。いずれの施設も「ととのう」ための場に新たな価値を加え、特色を打ち出している。(合田純奈)
ゴルフ場跡地を練習場として営業する「菊水ゴルフクラブ」(神戸市兵庫区烏原町)。カート道を進むと、旧2番ホールの小高いグリーン上に手作りのサウナ小屋が現れる。神戸の街並み、遠くには大阪湾も見える。昨年9月にオープンした「菊水さうな」だ。
オーナーは元看護師の足立花菜さん(27)。「アウトドアサウナ」を作ろうと、地図アプリや登記簿とにらめっこしながら理想の土地を探し、交渉を重ねた。
愛好家としての自身のこだわりを形にするため、施設のほとんどは自作。サウナストーブで熱する石800キロを自力で積み上げ、水風呂のたるは香りの良いヒノキの板を手作業で組んだ。さらに、肌触りが優しいという六甲山系の地下水を使う。
「サ旅(サウナ旅)」の目的地として訪れる客が多く、約3割は県外客。足立さんは「初心者も気軽に来てほしい」と話す。
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足立さんがはまったのは、サウナブームの頃。一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所によると、コロナ禍以降、サウナ利用者は減少傾向というものの、関西圏では2024年度、「月4回以上」の利用者は前年度比約15・1%も増加している。同研究所の佐野貴司理事(48)は「最近はサウナ後の付加価値を重視する需要が強まっている。関西ではエンタメ性のある温浴施設が増えており、施設の違いを楽しむ人が多いのでは」と分析する。
菊水さうなと同時期にリニューアルした「天然温泉スパ&サウナawa awa KOBE」(旧HATなぎさの湯、神戸市中央区脇浜海岸通1)は、クラフトビール醸造所を併設した。家族や仲間と過ごせる露天風呂付きプライベートサウナも新設。運営会社メゾネットの長尾洸太朗代表(35)は、海に近い立地を踏まえ「グループやカップルが、サウナ後の一杯を楽しめるよう、神戸ならではの動線を意識した」と話す。
数億円を投じてサウナに「賭けた」のが、シーサイドホテル舞子ビラ神戸(同市垂水区東舞子町)。別館リニューアルに合わせ、男性用サウナ「さふぃスパ舞子」を新設した。
プロデュースしたのは全国で人気サウナ施設を数多く手がけ、「サウナ王」として知られる太田広さん。日本で初めてサウナ室内に浴槽を設置し、水が5方向から噴き出る水風呂や西日本初となる最新の水車型サウナストーブも導入した。広報の桑村知志さん(42)は「神戸はまだ専門施設が少なく、ブルーオーシャン。潜在的な顧客を見越した大きな挑戦だった」という。
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新興施設が増える中、神戸のサウナ文化を長年けん引し、「サウナの聖地」と呼ばれる「神戸サウナ&スパ」(同市中央区下山手通2)も、約30年ぶりにメインサウナを改修した。
昨年11月、親しまれてきた雰囲気を残しながら設備を一新。コロナ禍で始まった黙浴ルールを撤廃し、本場フィンランド文化にならって利用者同士が自然に言葉を交わせる場を目指す。
狙いについて、広報の三谷健太郎さん(31)は「一時のサウナブームが落ち着き、初めて訪れたお客さんを離さないファンづくりが必要」と語る。
創業から70年以上の歴史を持つ神戸サウナ。「今は改編期。各施設がライバルとして競い合うのではなく、神戸の人たちの癒やしとなるように盛り上げていけたら」

























