各党の外国人政策に関する主な公約
各党の外国人政策に関する主な公約

 8日投開票の衆院選で、外国人を巡る政策が争点の一つになっている。国内の外国人労働者は過去最多の257万人を超え、人手不足にあえぐ日本の労働現場を支えている。そうした状況を踏まえ、衆院選では各党がそれぞれ訴えを掲げ、論戦を展開する。規制強化か、それとも共生実現か。選択の行方は未来を占う。(津谷治英)

 厚生労働省によると、外国人労働者は2025年10月末時点で257万1037人を数え、13年連続で過去最多を更新した。

 「グルメは互いに理解し合うためのツールになる。お酒を通じて日本の魅力をアピールし、理解が深まるきっかけをつくりたい」

 神戸市東灘区の酒造会社「神戸酒心館」で広報を担うイタリア人のメソレッラ・チンツィアさん(41)は笑顔を見せた。

 日本のアニメに引かれて神戸大学へ留学。日本酒に出合い、19年に同社に入社した。

 海外からの訪日客は25年に4千万人を突破し、神戸空港の国際化で神戸にも追い風が吹く。本場の味を求めて酒蔵を訪れるインバウンド(訪日客)も増えた。

 「前に購入した銘柄を求めるリピーターもいて、お酒への関心は高い」。接客を担当するメソレッラさんはやりがいを感じ、「日本に貢献したい」と考える。

 インドネシア人のアリ・クリスティアンさん(27)は、北播磨の工業団地近くにある集合住宅の1室で3人の同僚と暮らす。

 6年前に「技能実習生」として来日した。当初は言葉の壁に苦労したが、日本語学校に通って克服し、5年在留できる「特定技能」の資格を取得した。今は食品工場で働く。月給は約15万円で母国の3倍以上だ。

 「日本の職場は時間や規律をしっかり守り効率的。労働環境を学べる。故郷に伝えたい」とクリスティアンさん。母国の友人をはじめ、アジアで日本は人気の的といい「安全で暮らしに便利な点が魅力」と話す。

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 一方、そうした外国人労働者を巡って、国内では多様な考え方が交錯する。

 今回の衆院選でも多岐にわたる。自民党は日本国籍取得審査の厳格化、日本維新の会は外国人の受け入れ数制限をそれぞれ訴える。

 国民民主党は、不動産への投資規制などを主張。参政党は、外国人受け入れの基準などを管理する省庁の新設や、不法滞在の取り締まり強化を掲げる。

 対して中道改革連合は「多文化共生」を強調。共産党は「排外主義反対」の姿勢を強く打ち出す。

 外国人を取り巻く厳しい空気について、ジャーナリストの澤田晃宏さん(44)=神戸市長田区出身=は「市民の不満が背景にあるのではないか」とみる。

 「高齢層を中心に、言葉や習慣の異なる外国人との共生になじみの薄さを感じる傾向がある」と現状を説明。「そこへ生活苦を背景とする現役層の不満が合流して社会の閉塞感の矛先が外国人への攻撃にすり替わった」と分析する。

 「外国人労働者は、今や私たちの生活に欠かせない存在になっている」と澤田さん。「選挙を経て共生に向けた支援の充実につながれば」と期待する。