元教諭を提訴した思いを会見で語る元生徒の女性=22日午前、神戸市中央区、兵庫県庁
元教諭を提訴した思いを会見で語る元生徒の女性=22日午前、神戸市中央区、兵庫県庁

 高校時代から十数年にわたって性被害を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したなどとして、兵庫県立高校の生徒だった30代女性が22日までに、元教諭の60代男性に約3700万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。同日、女性や代理人弁護士が会見を開き、明らかにした。提訴は19日付。一方、男性は神戸新聞社の取材に対し「身に覚えがなく、心外だ」と答えた。

 代理人弁護士によると、訴状では女性が高校入学前後から、男性からキスなどのわいせつ行為を受け、学校内外で性交を強いられたと主張。脅迫や暴行、ストーカー行為もあり、卒業後も社会人時代の2022年まで続いたとしている。同年5月に神戸市内の宿泊施設で乱暴されたとして、兵庫県警に被害届を出したが、男性は嫌疑不十分で不起訴処分に。女性は同12月にPTSDと診断され、男性から逃れるために東日本に引っ越した。現在も治療中のPTSDの影響で就労が制限されたことによる逸失利益や慰謝料、転居費用などの賠償を求めている。

 会見した女性によると、高校1年から男性が顧問を務める柔道部に所属。機嫌を損なうと髪をつかんで引きずられるなどの暴力に遭うことから性交に応じていたと明かし、恐怖を植え付けられ「コントロールされていた」と語った。不起訴となった件は検察審査会に申し立てたという。

 一方、男性は電話取材に「強制性交も暴行もストーカーも一切ない。脅迫は僕の言い方がきつかったところがあるかもしれないが、訴えられるような筋合いはない」と答えた。

 女性は22年以降、男性の教員免許取上げや退職金を返納させるよう、県教育委員会に約10回相談したが、退職済みなどを理由に応じられなかったという。県教委教職員人事課は取材に「内容についての詳細は差し控えるが、必要があれば適正に調査し、必要な措置を講じていく」とした。

    ◆    ◆

 国内では、教育・保育現場、習い事先などでの子どもへの性暴力を防止する法律が2024年6月に成立。今年12月には、雇用主側が就業を希望する人の性犯罪歴を確認できる「日本版DBS」の運用を控えている。国の統計によると、性犯罪や性暴力を理由に懲戒処分を受けた公立学校の教職員は、毎年200人近くにのぼる。

 日本版-は性犯罪歴の確認のほか、防犯カメラの設置や研修などの安全確保措置を盛り込む。学校や認可保育所などに義務づけ、スポーツクラブなど民間事業者の参加は任意としている。勤務形態や資格にかかわらず、子どもと継続的に接する職種は確認対象となる。性暴力のおそれがあると認められた場合、雇用主は教育や保育業務に従事させない措置を取ることができる。