「絶対に諦めない」と執念で逆転勝利に導いた神戸のベテラン道原=5日、ジーライオンアリーナ神戸
「絶対に諦めない」と執念で逆転勝利に導いた神戸のベテラン道原=5日、ジーライオンアリーナ神戸

 新本拠地の幕開けを祝う劇的勝利となった。5日に「ジーライオンアリーナ神戸」で開かれた、バスケットボール男子Bリーグ2部・神戸の初試合。勝利の立役者は、地元神戸出身でチーム一筋13年の道原だ。4点を追う残り4秒からの同点劇は、針の穴を通すような判断と技術の結晶だった。

 クラブ史上最多の8580人を集め、派手な演出で興奮に包まれた新アリーナ。ただ、肝心の試合は残り10秒を切り、神戸が84-88と山形に敗れる瀬戸際に追い込まれていた。

 相手にとってボールをキープすれば勝利が決まる場面。だが、ここで誤って道原へパス。「味方と間違えたのでは」と道原。さらに相手のファウルを誘ってチームファウルが五つとなり、フリースロー2本を手にした。

 残り4秒で4点差。2本とも決めても、2点差で相手に攻撃権が移ってしまう。そこで2本目はあえて外してこぼれ球を拾い、最後の3点シュートで同点とする策に懸けた。味方の野溝と谷にはスリーポイントラインで待つよう伝えた。

 鍵はシュートの外し方だった。「空中のボールを相手と競ると時間が流れてしまう。リング手前に当てて自分で取るのが一番」と決断した。