展示物を説明する山陰海岸ジオパーク館の谷本勇館長(河合美智子さん提供)
展示物を説明する山陰海岸ジオパーク館の谷本勇館長(河合美智子さん提供)

 1月1日に起きた能登半島地震。今もなお信じ難い光景が広がっている。石川県輪島市では4メートルもの海岸隆起が起こった。プレートが沈み込む影響で地震や地殻変動が起きると聞いたことはあったが、何万年もかけて少しずつ変化するものだと思い込んでいたので、自然の驚異には度肝を抜かれた。知った気になっていただけの地球をもっと理解したい。そう思って新温泉町にある「山陰海岸ジオパーク館」を訪ねた。

 熱い解説をしてくれたのは、館長の谷本勇さん。日本は四つのプレートが重なる世界でも珍しい地域で、地震が多いのは必然。その代わり豊かな資源に恵まれ、その恩恵は数知れない。上手に地球と共存していくことこそ大切で、自分の住む地域を知ることが防災の第一歩だという。

 「山陰海岸ジオパーク」は景観の美しさだけでなく、日本がアジア大陸の一部だった頃から現在に至るまでの経緯を読み解ける多様な地層や地質が存在する大変貴重なエリア。館内にある50万分の1の日本列島周辺のジオラマや館長自ら採取した岩石や化石のコーナーは何時間でも見ていられるし、自然現象を楽しく体験しながら学べるジオ体験コーナーは大人でも様々な発見がある。大げさかもしれないが、人類は地球との向き合い方をきちんと考えなければいけないのだと強く感じた。

 最後に能登半島地震で犠牲になられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災地の方々の生活が少しでも早く平穏なものになることを心より願っています。