出石城下町で江戸時代、鍋や釜を作る職人「鋳物師」が暮らしたとされる豊岡市出石町宵田の「鋳物師町」を巡り、当時の職人にゆかりの古文書が、同地区の古民家で見つかった。現地でカフェを開業した市立歴史博物館の前館長小寺誠さん(62)が、空き店舗の改装中に確認した。但馬地域全体でも約10人だったとされる鋳物師の実像をうかがわせる貴重な資料という。(阿部江利)
小寺さんは旧出石町時代から、埋蔵物や建築物などさまざまな文化財を調査してきた。2022年度まで同館館長、定年後の23~24年度は出石振興局で文化財活用推進員を務め、今年5月に町家カフェ「さくらや」を開いた。
建物は出石で大火があった1876(明治9)年以降の建築とみられ、同城下町で一般的な木造2階建て。通りに面した「ミセノマ」と中央の「ナカノマ」、「ザシキ」が連なる。構造を見やすくするため天井板を外すなどした今年2月、傷んだふすまの下張りに約200枚の古文書が使われているのを発見した。