昆虫のふんにスポットを当てた夏季特別展「むしのうんこ展」が、氷上回廊水分れフィールドミュージアム(兵庫県丹波市氷上町石生)で開かれている。約180種類を形ごとに八つに分類し、昆虫の標本などと一緒に展示。ふんを通して昆虫の生態を学ぶことができる。9月29日まで。(伊藤颯真)
同県伊丹市昆虫館で20年前から不定期で開催される人気の企画展。博物館連携の一環として、同館が所蔵する約270種類のふんの中から、昨年実施したときの資料を借りて実現した。
昆虫のふんは人間と同じで、食べ物を胃や腸で消化し、栄養を吸収した残りカス。しかし、昆虫は尿酸をつくる「マルピーギ管」が腸につながっているため、ふんとおしっこが一緒になって排出されるという。
ふんの八つの分類は、同昆虫館の学芸員が観察する中で気付いたという。木の汁を吸うセミや花のミツをエサにするチョウなど、液体を食べる昆虫は「みずうんこ」になる。ヤママユなどガの仲間の幼虫は、断面が花びらのように見える「ぼこぼこうんこ」で、腸の壁がひだ状になっていることが理由だ。
カブトムシの幼虫のイラストを中心に、実物のふん約1万個を同心円状に並べたパネルでは、さなぎになるまでに排出するふんの数を視覚的に楽しめるように工夫した。他に、陶器製のミニ便器に入ったふんの種類を当てるクイズや、中国などで親しまれているカイコの幼虫のふんで作られた茶や糞虫の炒め物の展示もある。
「飼育する昆虫からふんを採集するうちに、新しい種類がほしいと思うようになってきた」と同昆虫館学芸員の角正美雪さん。「違う昆虫なのにふんが似ていたり、同じ昆虫でも食べるものによって色、形、においが全然違ったりしておもしろい。ふんを通して昆虫の多様性に気付いてもらえたらうれしい」と話していた。
午前10時~午後5時。月曜休館。大人210円。小中学生100円。同ミュージアムTEL0795・82・5912