昭和天皇の后で2000年に97歳で亡くなった香淳皇后の生涯を記した「香淳皇后実録」が完成し、宮内庁が19日発表した。客観的資料に基づき編年体でつづった公式記録で計3828ページ。約17年かけてまとめた。先の大戦を経て、戦後の憲法下で「象徴」となった昭和天皇と歩んだ皇后の姿を知る手がかりとなる。内容は10月9日にホームページで公開する予定。
宮内庁の西村泰彦長官が9月18日に天皇、皇后両陛下に奉呈し、19日午前に上皇ご夫妻に提出した。
「奉呈本」はB5判で目次・凡例1冊を含め計13冊。主な動静として宮中儀式や地方訪問、外国との交流、皇族との対面などを記述した。宮内庁書陵部が08年から編さん作業に当たり、宮内庁所蔵の資料や各自治体の公文書のほか、元側近の日記や新聞記事などを収集し、元職員ら計30人から聞き取りも実施した。
香淳皇后は1903年、当時宮家だった久邇宮家の長女として生まれた。24年に結婚し、大正天皇が亡くなった26年、昭和天皇の即位に伴い皇后となった。