資生堂パーラーのバレンタイン限定パフェ(提供写真)
 資生堂パーラーのバレンタイン限定パフェ(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【25日(土)】

 ▽「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ恵」(~2月16日、港区)

 光をとらえて解き放つ現代アーティスト2人の作品に、白金台の東京都庭園美術館(重要文化財・旧朝香宮邸)の空間で触れることができる。

 国内外で活躍する彫刻家・青木野枝さんとガラス作家・三嶋りつ恵さんの大型インスタレーションを館内の各所に展示。学芸員の森千花さんは「作品を置く空間に高い関心を寄せる作家たち。展示室に差し込む自然光や室内照明が、素材の鉄やガラスと共鳴し、心を揺さぶる光景を生み出している」と話す。

 青木さんは、鉄を溶断する際に現れる“光”に着想を得ている。大食堂だった場所に設置した新作「ふりそそぐもの/朝香宮邸☆(ローマ数字2)」は、鉄から切り出した丸いパーツを球形に組み立てた。建築の曲線美と呼応し、見る者を包み込み、世界とのつながりを感じさせる。

 長年ベネチアの工房でガラス職人と協働する三嶋さんは“光の表情”に注目し、ガラスの作品約40点による「光の海」を大広間の台座上に並べた。天井の40個のライトを反映し、まぶしく輝いている。

 「青木さんの鉄の彫刻は線で構成されているので、不思議と軽やかな雰囲気を醸し出す。光の輪郭を描き出せるのは、三嶋さんが追求する無色透明なガラス作品だからこそ」と森さん。

 2人は展覧会の1年半前から、庭園美術館に何度も通い“今ここにあるべきもの”を考え抜いたという。フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックらが約90年前に館内を装飾したアール・デコ様式と、現代の2人の作品が響き合う。

 「今も世界で不安な出来事が起きている。ここに降りてきた光が見る人々を照らし、誰かや何かとつながる力を与えてくれたらと思う」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【25日(土)】

 ▽「サンタ・マリア・ノヴェッラがリニューアルオープン」(通年営業、渋谷区)

 世界最古の薬局としても知られるイタリアのフレグランスブランド「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の渋谷パルコ店が、リニューアルオープンして話題を呼んでいる。

 13世紀にフィレンツェの修道院(現フィレンツェ本店)のドミニコ修道士が栽培した薬草や花を使って、院内の薬局で薬剤を調合したのがブランドの始まり。新装された店舗はその修道院から着想を得て、温かみのある木目調の陳列棚を取り入れた。800年におよぶ歴史を背景にした香りの数々を、店内で楽しむことができる。

 マーケティング担当の稲垣元気さんは「“香りの芸術”と称されるフレグランスは、メディチ家を最大顧客としていた」と話す。

 16世紀に製造された“王妃の水”と称されるオーデコロン「アクア・デッラ・レジーナ」は最も古い香り。「カトリーヌ・ドゥ・メディチがフランス国王アンリ2世に嫁ぐ際、フィレンツェの思い出を香りにするため制作された」。当時珍しかったかんきつ系の芳香をフランスの宮廷社会に広めたといわれている。

 トスカーナの丘陵で摘まれた草花に精油を合わせた「ポプリ」は18世紀の製品。当時は教会内の至る所に置かれ、祈りの際に精神を落ち着かせた。ペストが流行した14世紀に、病を癒やすためにつくったバラの蒸留水を基にした化粧水「ローズウォーター」も並ぶ。

 修道士たちが設立した薬局が起源だけに、他者を助ける慈愛の精神を脈々と受け継いでいる。「人と人のつながりに思いを寄せてつくられてきたフィレンツェの香りの文化を、東京を代表する渋谷という都市で感じてもらえたらうれしい」

 ▽「イマーシブ・プラネタリウム ゴッホ」(終了日未定、千代田区)

 ゴッホの絵画世界に没入するイマーシブ体験ができ、昨年秋に初上映され人気を博したプラネタリウム作品が、有楽町の「コニカミノルタプラネタリアTOKYO」で再上映されている。

 映像は絵画が描かれた時期やテーマで分けた全13種類のシーンで構成。天井から壁面にかけて広がる直径15メートルのドームに投映する。人気の高い「ひまわり」「星月夜」などの作品に影響を与えた出来事や、画家の生涯に思いを巡らせながら鑑賞できる。

 名画をイメージしたモクテルやドーナツなどの限定メニューも提供。上映中は撮影が許可されており、歩きながらの鑑賞も可能となる。

 ▽「資生堂パーラー 2025年バレンタイン限定パフェ」(~2月14日、中央区)

 バレンタインの限定パフェが資生堂パーラーの銀座本店サロン・ド・カフェで提供されている。 「ベリーとショコラのバレンタインスペシャルパフェ」はストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種と、チョコレートソルベなどを重ねた。ハート形チョコレートやフルーツを飾り付け、バレンタインらしい味わいと華やかな雰囲気が楽しめる。

 【26日(日)】

 ▽「講演会 美術批評家・中原佑介が見た社会」(14時、事前予約制、練馬区立美術館)

 東京大大学院教授の加治屋健司さんが、第2次世界大戦後に活躍した美術批評家・中原佑介について講演する。

 論理的な思考に基づく批評を展開した中原が、美術と社会の関係をどのように考えたのか、半世紀に及ぶ批評活動をたどる。