ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウから、150年以上の伝統を誇るウクライナ国立歌劇場が来日した。2026年1月にかけてバレエ、オーケストラ、オペラ公演を各地で開催。「芸術の力で人々に生きる意欲を与えたい」との思いで表現活動を続けるアーティストたちの熱演をたっぷりと味わえる。
バレエ公演では、ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)が古典の新版「ジゼル」を27、28日東京と埼玉で上演。日本からの義援金を活用して23年に制作した。日本人として初めて同バレエの芸術監督を務める寺田宜弘は「戦争中にもかかわらず新しい作品が生み出せて、多くのウクライナ人に『未来がある』と思ってもらえた」と語る。
印象的なのは、従来の演出を大きく変えたラストシーン。愛し合いながらも結ばれることがなかったヒロイン、ジゼルと貴族のアルブレヒトが、死後の世界で結ばれる結末にしたのだ。「戦争で家族を亡くした人も含め、見る人によっていろいろな想像ができる。私たちの劇場で100年残るレパートリーになるはず」
28日~来年1月にはウクライナ国立歌劇場管弦楽団が横浜、東京、京都でベートーベンの交響曲第5番「運命」と交響曲第9番「合唱付き」を演奏する。首席指揮者のミコラ・ジャジューラは「この2曲が描く激しい戦いを私たちは日常で経験している。でもその先に、平和と幸せに満ちたフィナーレがある。私たちの心情に近い曲です」。
来年1月に8都府県で開くオペラ公演では、ベルディの「アイーダ」とプッチーニの「トゥーランドット」を上演。ジャジューラは「非常に高い技術を要する演目。ウクライナにとてもレベルの高い芸術があることを知ってほしい」と話している。
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【バレエ公演の「ジゼル」は12月27日東京文化会館で2公演、28日埼玉・ウェスタ川越▽オーケストラ公演は28日横浜みなとみらいホール、29日東京オペラシティで2公演、30日東京オペラシティ、2026年1月15日京都コンサートホール▽オペラ公演の「アイーダ」は1月4日東京文化会館、8日群馬・高崎芸術劇場、10日東京・武蔵野市民文化会館、16日和歌山県民文化会館、18日愛知県芸術劇場▽「トゥーランドット」は6、7日東京文化会館、9日群馬・高崎芸術劇場、11日茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館、12日新潟県民会館、14日石川・本多の森北電ホール、17日大阪・フェスティバルホール】
























