日銀は金融政策を見直した。これまでは1%を長期金利の上限としていたが、新たに1%を一定程度超えても容認する。景気回復による米国の金利上昇に伴い、国内金利にも上昇圧力が強まっている点に対応するのが狙いだ。
昨年12月以来、見直しはこれで3度目を数える。前回は今年7月に金利の上限を0・5%から1%に引き上げたばかりで、まだ3カ月しかたっていない。
会見した植田和男総裁は、7月の1%の上限を「(市場金利が)すぐに接近しないと考えていた」と述べたが、その後に金利は0・955%と1%直前に達した。上昇の勢いの強さを読み誤ったのは間違いない。
金利上昇を無理に抑え込めば、市場にゆがみが生じる。しかし上昇を容認し続ければ、住宅ローンや融資金利の上昇に伴い消費者や企業の負担増が懸念される。コロナ禍からようやく回復しつつある景気に悪影響を及ぼさないよう、日銀は慎重な政策運営が求められる。
このところの物価高の一因である円安ドル高の背景に、日銀の大規模金融緩和がある。金利が高い海外市場に資金が流出しているためだ。物価安定は中央銀行の責務であり、今回の見直しが円安修正も意識している点は植田総裁も認めた。
だが見直しの発表後も、為替相場の円安傾向は続いている。市場は今回の見直しを「微修正に過ぎない」ととらえており、資金の流れを巻き戻すほどの影響力を発揮できていない。日銀の思惑通りに物価高への効果が表れるかは未知数だ。
日銀が政策見直しとともに示した消費者物価上昇率の予測では、2023年度、24年度とも2・8%と、これまでより引き上げた。金融緩和の目的として掲げ続けた「2%の安定した物価上昇」の達成は、目前に近づいている。
植田総裁は、物価上昇に応じた賃金アップを実現するため「粘り強い金融緩和の継続」が必要と強調するが、来年の春闘では人手不足を背景に賃上げの波が中小にも広まるとの見方があり、円安を是正するためにも、大規模緩和の手仕舞いを考え始めるべきだろう。
問題は、政府の財政政策だ。大規模緩和によって最終的に日銀が国債を引き受けるため、国債頼みの予算編成を毎年繰り返している。
これでは緩和政策を思い切って見直すのは難しい。円安傾向が続くのは、その点を市場が見抜いているからではないか。
市場の動きを後追いする政策修正を繰り返すばかりでなく、日銀は政府とも連携を強め、効果的な物価高対策を練り上げなければならない。

























