映画界最高峰の栄誉とされる米アカデミー賞で、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞、山崎貴監督の「ゴジラ-1・0(マイナスワン)」が視覚効果賞を受賞した。宮崎監督作品の受賞は2003年の「千と千尋の神隠し」以来、21年ぶり2度目となる。
視覚効果賞はアジアの映画では初めてで、監督として同賞を受けたのは「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック監督以来、55年ぶり2人目である。日本映画界2冠の快挙に拍手を送りたい。
「君たちは-」は戦時中の火災で母を亡くした少年が、奇妙なアオサギの案内で異世界に迷い込み、さまざまな出会いをする物語だ。83歳の宮崎監督は13年に引退を発表した。それを撤回したのは「もう一本作りたい」との熱意からだった。
受賞作は葛藤を抱える少年を通し「どう生きるか」を問いかける。テーマの普遍性と多様な解釈を許す深い世界観が共感を得たのだろう。
「ゴジラ-1・0」はシリーズ70周年記念作で、実写版では30作目になる。「ALWAYS 三丁目の夕日」などで知られる山崎監督がVFX(視覚効果)も担当した。全てを失った敗戦直後の日本で、襲い来るゴジラに人々が立ち向かう。
撮影では、最新のデジタル技術にミニチュア模型などを使う昔ながらの特撮技術を加え、手作りの温かみを出した。製作費が米映画の10分の1ほどだった点もハリウッドを驚かせた。歴代のゴジラと同様、工夫を重ねて限られた予算内で作る。まさに日本映画の伝統を生かした。
視覚効果賞はこれまで「スター・ウォーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」などの超大作が受賞してきた。「望むことすら想像しなかった場所」(山崎監督)に日本の映画人が立ったことは感慨深い。
受賞2作品は海外でも観客動員数を伸ばすなど、興行的にも成功している。今回の評価が日本映画界全体の底上げにつながり、労働環境が厳しいとされる作り手の待遇改善を促すことも期待される。
受賞は逃したものの、役所広司さん主演の「PERFECT DAYS」も国際長編映画賞部門にノミネートされた。監督はドイツのビム・ベンダース氏で、トイレ清掃の仕事をする男性の日常を淡々と描いた。ベンダース氏は「東京物語」(1953年)を見て以来、小津安二郎監督を敬愛しているという。
お家芸のアニメと特撮のゴジラ、小津監督の芸術性に影響を受けた作品と、今年のアカデミー賞では、日本映画が積み重ねてきた創作の力を改めて世界に示した。ぜひ後に続く受賞者が出てきてほしい。

























