インターネットを通じてバカラやスロットなどに金を賭ける「オンラインカジノ」に関連する2024年の摘発者が、過去最多の279人に上ると警察庁が公表した。半数は利用客だった。これは氷山の一角で、急増する国内利用者は300万人を超えるとの推計もある。違法賭博の広がりは深刻である。
スマートフォンで時間や場所を選ばず手軽に利用できるため、オンラインカジノをゲーム感覚で始める人が多いとされる。海外では賭博行為が合法な国もあり、カジノのサイトには「合法」「安心・安全」などとうたうものもある。
しかし日本では競馬などの公営ギャンブル以外は禁じられ、国内からアクセスすると犯罪になる。政府は違法性の周知を図る啓発に乗りだしたものの、広く浸透しているとは言い難い。官民が連携し、強い利用防止策を取らなければならない。
オンラインカジノでは一般的に、クレジットカードや暗号資産(仮想通貨)で購入したポイントで賭けをする。インターネット広告や動画サイトを入り口にし、匿名も可能にするなど軽い気持ちで利用してしまう仕組みがあり、注意が必要だ。
賭博罪の罰則は50万円以下の罰金か科料で、常習性があると判断されれば懲役刑になる可能性もある。スポーツ選手らも摘発され、契約解除などの社会的制裁を受けている。遊びで手を染める代償は大きい。
兵庫県警などが昨年、ネットの換金業者を摘発した事件では、換金をした人の大半がカジノの利用客だった。電子マネーの入金額が1回当たり数百~数万円と少額だったことから、利用客の大半は若い世代で、未成年も多いとみられる。
こうした若年層を含めて懸念されるのは、ギャンブル依存症になり、オンラインカジノをやめられなくなる恐れがあることだ。
厚生労働省の23年度実態調査によると、過去1年にギャンブル依存症だった疑いのある18~74歳は1・7%に上る。一方、保健所などを通じた当事者アンケートでは、問題となっているギャンブルとして7・5%がオンラインカジノを挙げた。
依存症の治療には専門の医療機関の受診が望ましいが、診察にたどりつくまでには平均2・9年かかっているとされる。各自治体は施設の整備や周知に努め、早期治療の体制を構築してほしい。
借金がかさんで家族が崩壊したり、返済のために特殊詐欺など新たな犯罪に加担したりする事例は後を絶たない。収益が犯罪組織の資金源となる場合もある。警察当局はカジノの運営者や決済代行業者を含め、取り締まりを強化してもらいたい。
























