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 国内ラグビーの最高峰、「リーグワン」が開幕した。企業チームが中心だった前身のトップリーグが地域性も加味した運営形態に衣替えし5季目となる。上位の1部には強豪12チームが属する。昨季過去最高の3位だったコベルコ神戸スティーラーズは新戦力を補強するなど、初制覇に向けてスタートを切った。選手たちは鍛錬の成果と自信を胸に躍動してもらいたい。

 日本のラグビー界は、日本代表が初めて8強入りした2019年のワールドカップ(W杯)日本大会でブームが再燃した。23年W杯は決勝トーナメント進出を逃したものの、世界の強豪国と渡り合う姿に心を打たれた人も多いだろう。

 近年は海外勢とのテストマッチも観客動員は好調だ。今年7月に神戸であったウェールズ戦は2万5千人、10月に国立競技場で開催されたオーストラリア戦は4万人を超え、有数のスポーツコンテンツに成長した。

 リーグワンも、チーム名に地域名を入れて地元密着を図るほか、実績ある海外選手の加入もあり、昨季の1部の観客数は1季目の1試合平均4千人台から倍近くに増えた。競技への関心が高まれば、次代の有力選手を育む一助ともなる。

 ただ競技人口は減少傾向が続いている。全国高校体育連盟の加盟校数は05年度の1214校から、25年度は813校に激減した。15人制のため部員数確保が難しく、複数校による合同チームも増えている。「花園」の愛称で親しまれる全国高校ラグビーの島根県予選は今年、1校しか出場せず、予選なしで代表が決まる異例の事態となった。兵庫県でも合同5チームを含め、23チームの出場とピーク時の半数以下に落ち込んだ。

 将来を考えれば、集客だけでなく、低年齢層への普及や選手の育成にも力を注がねばならない。神戸製鋼所はラグビー人口の拡大へ、高校生対象の大会「コベルコカップ」を05年から続けている。部員不足でチームを組めない高校の選手を集めて試合をするほか、スティーラーズの選手らが直接指導する。

 リーグワンとして地域にもっと目を向け、ラグビーの魅力を浸透させる取り組みを一層強化する必要がある。