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 きょうは成人の日。祝日法は「みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日と定める。

 多くの自治体は20歳の人を招き成人式を開く。精神面でも経済面でも、自立を目指す努力は尊い。

 同時に、わたしたちの社会は互いにさまざまな形で支え合いながら成り立っている。誰かを支えることで、誰かに支えられる。社会の一員となった20歳のあなたに知ってもらいたい。

 支え合いを国の制度としたのが、年金や医療などの社会保障だ。今のあなたには「支える」の押しつけに映るかもしれない。

 20歳になれば国民年金の保険料を払わねばならない。就職すれば、厚生年金や健康保険の保険料が給与から引かれる。日々の生活で払う消費税も社会保障に注ぎ込まれる。「自分たちは年金をもらえるのか」との不安も負担感に拍車をかける。

 政府が2024年度に公表した試算では、今後の経済状況が過去30年と同程度なら20歳の男性は平均で月に約15万円、女性は約11万円の年金を65歳から受け取れる。

 政府は少額投資非課税制度(NISA)などのリスクを伴う株取引の優遇ばかりPRするが、その前にやるべきことがある。社会保障の持続性を訴え、保険料や消費税は負担でなく支え合いのためだと、社会に巣立っていく世代にもっと丁寧に説明しなければならない。

 昨年の参院選では、多くの政党や候補者が消費税や保険料の引き下げを訴えた。将来にわたって安心に暮らせるかに関わる公約だが、世論調査では若い人ほど引き下げを支持する割合が高かった。

 「支え合うためのお金より、いま使えるお金が大事」というあなたの思いも理解できる。しかし消費税率を仮に10%から5%にすれば、税収は年10兆円以上も減る。一方で社会保障費は年30兆円を超え、毎年数千億円ずつ確実に増える。医療や年金にどんな影響が及び、どう穴埋めするのか。そうした議論は深まらないままだった。

 社会保障の枠組みは複雑さを増し、時代の変化に合わなくなった部分は修正が欠かせない。収入や資産に応じた公平な負担のあり方も道半ばだ。政治家は耳当たりのよい「引き下げ」に逃げず、国民の声を聴きながら汗をかかねばならない。投票でその意思を示すのも、有権者であるあなたのミッションだ。

 心身を損ねたり肉親が年老いたり、社会に出れば、医療や介護に支えられる立場になることもある。困ったときはお互いさま。遠慮なく支えてもらい、たまには一休みもしながら、人生を切り開いてほしい。