厚生労働省が2月に発表した人口動態統計の速報値で、2025年に生まれた外国人を含む子どもの数は70万5809人となり10年連続で過去最少を更新した。出生数が70万人まで減ったのは政府推計より17年も早い。
減少率は前年より2・9ポイント鈍化して2・1%だった。出生数にほぼ直結する婚姻数が、新型コロナウイルス禍による急減から一定程度回復したことが要因と考えられる。しかし、婚姻数は依然低い水準にあり、少子化が加速している状況に変わりはない。
政府は1990年代以降、少子化対策を本格化しているが、効果が表れていない。結婚や子育てを希望する若者にとって、何が障壁となっているかを改めて精査し、当事者の意識や実情を踏まえた対策を急がねばならない。制度の実効性を高めることはもちろん、社会全体の意識改革が欠かせない。
兵庫県の出生数は前年比1・5%減の3万1540人だった。神戸市は4・5%減と全国平均を大きく超える減少となった。
一方、増加は東京都と石川県のみとなった。石川は能登半島地震に伴う出生数減の反動とみられる。9年ぶりにプラスとなった東京は、潤沢な税収を基に児童手当の拡充や保育料の無償化といった手厚い子育て支援策に乗り出しており、共働き世帯を引きつけているようだ。
関東1都6県も東京以外はマイナスが続いており、子どもを持ち育てたい夫婦が東京へ転出していることがうかがえる。自治体の財政力によって少子化対策に極端な格差が生じる状況が続けば大都市以外の地域は急速に活力を失いかねない。子育て支援策の水準を全国でそろえるには財政面で国の後押しが求められる。
若い女性が都市部に転出する要因の一つとして、「家事や育児は女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識が地域に根強く残っていることが指摘される。政府は「若者や女性に選ばれる地方の実現」を掲げる。魅力ある職場の創出に加え、女性や若者が自己実現しやすい環境整備が鍵となる。
従来の政府の少子化対策は子育て支援が主体で、未婚の若年層へのサポートが不足していた。低賃金で不安定な雇用から結婚をためらう若者は少なくない。政府は若い世代の所得底上げへ一層力を入れるべきだ。
4月から公的医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる。児童手当拡充などの財源確保が目的で、子育てを社会全体で支える狙いがある。政府は国民に意義を丁寧に説明し、理解を得る努力が必要である。























