阪神・淡路大震災の発生から31年が過ぎた。当時を知らない世代が増える中、体験や教訓を語り継ぐことは「未来の防災」にほかならない。
神戸新聞社が、小学生を対象に募集した「第1回 未来に伝えたい阪神・淡路大震災 1・17震災作文コンクール」の入賞者が決まった。
震災では6434人が亡くなり、3人が行方不明になった。地元メディアとして市民の防災意識をもっと高めていれば、より多くの命を救えたのではないかとの反省が報道の出発点にある。将来発生する災害の犠牲者を一人でも減らすことが被災地の教訓であり、願いだ。幼い頃から命を守る心構えを養いたい。
作文コンクールには兵庫県内外の学校・個人から計744点の応募があった。最優秀に当たる金賞には、関西学院初等部(宝塚市)4年、村上愛梨さんの作品が選ばれた。
授業で震災について学んだ村上さんは「もしも」と題し、災害に備え、学校生活で普段から考えておくことの大切さをつづった。
村上さんは学校まで徒歩と電車で通う。集団登下校ではないため、災害に遭った場合にどう動けばいいのか、想像を巡らせた。作文では「まず自分の身を守ること。(中略)自分自身が落ち着いたら、周りの手助けになれるよう動きたい」と記す。その上で「同じ方面や同じ駅まで帰る人どうしのグループを決めておくのがいいのでは」と提案する。
5歳下の妹がいるといい、「私が卒業したあとも、妹が安心して通えるような仕組みを作ってあげたい」と助け合いの輪が広がることを願う。豊かな表現力で、災害の教訓を「わがこと」として捉え、命を守る行動につなげる大切さを説く。
他の入賞作品にも、自身や周りの人の命を守り、生き抜くために両親や祖父母らの体験談を基に考えた知恵や工夫が詰まっている。審査委員長の阪本真由美・兵庫県立大大学院教授は「被災体験を風化させないために、子どもとして自分に何ができるのか、どのように地域と関わっていけるのかを考える姿勢を頼もしく思った」と講評を寄せた。
学びを通じて災害を自らに重ね合わせたことが、記憶を継承する営みになったに違いない。世代交代が進む発生30年を境に災害の記憶や教訓が薄れるという「30年限界説」を乗り越える力は、こうした小さな取り組みの積み重ねではないか。
災害はまたいつか必ず起きる。他者の痛みを自分ごととし、世代を超えてバトンをつなぐ。多様な声の連なりが、明日の備えを確かなものにする。災害に強い社会をつくる未来の担い手を育てるために、私たちもできることを考え続けたい。






















