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 今夏の全国高校野球選手権大会から、判定を映像で確認するビデオ検証が導入される。

 プロ野球や社会人野球、東京六大学野球などでは既に採用されている。米大リーグでは今季からボール、ストライクの判定を補助する「ロボット審判」が導入されるなど、近年はテクノロジー化が加速している。

 導入の背景には、際どい判定を巡って、審判が交流サイト(SNS)上で誹謗(ひぼう)中傷にさらされるケースが相次いでいることも見逃せない。判定を精査する仕組みを取り入れることで、試合を左右する局面での誤審を防ぐだけでなく、審判個人を守る効果も期待される。

 高校野球でのビデオ検証は、フェアかファウルか▽タッチプレー▽本塁打▽捕球の確認-などの判定が対象となる。

 検証を求める場合、監督がベンチから伝令役の選手を通じて球審に伝える。9イニングで1回求める権利があり、検証で判定が覆った際は1回と数えず、もう1回だけ要求することができる。延長戦については、権利が1回追加される。

 判定に不服な場合でも映像で確認されることで、選手や監督にも納得感が生まれ、プレーへの精神的な影響も少なからず抑えられるだろう。

 長らく審判の判定は「絶対」とされてきた。現在は、観客が試合動画の配信サービスなどにより、直ちに映像を確認できる時代だ。ビデオ検証は審判の威厳を損なうとの指摘もあるが、判定に関する映像が繰り返し再生される恐れがあり、審判からも導入を求める声が上がっていた。最新技術を活用し、より正確な判定につなげてほしい。

 ビデオ検証は当面、全国大会に限られる。地方大会では撮影機材や人員が十分でないなど導入には課題が多い。ただ甲子園出場を懸けた試合でも判定が勝敗に影響する場合がある。2023年夏の神奈川大会決勝では併殺を狙った内野手がベースを踏んでいないと判定され、直後に逆転本塁打が出たことにSNS上で波紋が広がった。

 地方大会でもテレビ中継が入る決勝戦などは導入が可能ではないか。甲子園大会での知見を蓄積し、都道府県レベルでも普及を進めてもらいたい。