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 高市早苗首相は、2026年度補正予算案の編成を財務相らに指示した。ガソリン代などへの補助金を継続するほか、昨年同様に7~9月の電気・ガス代を補助する。総額は3兆円程度の規模となる方向だ。

 中東情勢の混迷は先行きが見通せず、原油価格の高騰に円安も重なる。家計の負担はさらに増す可能性が高い。今夏も猛暑が予想され、エアコンを使うのをためらい熱中症になるケースも懸念され、一定の補助が求められる。

 留意すべきは、このところの円安と金利の上昇だ。いずれも、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」が財政膨張を招きかねない点に、市場が発した警告である。

 円安で原油価格の上昇に拍車がかかれば、補助額は増える。財政を圧迫し、さらに円が下落する悪循環に陥る。厳しい財政事情を踏まえ、補助の在り方を見直さねばならない。

 ガソリン補助金は、全国平均価格を現在1リットル当たり170円程度に抑制している。補助は1リットル当たり42円弱で月数千億円に上り、財源となる基金は6月にも底を突く。

 電気・ガス代補助は昨夏の場合、一般家庭で月千円程度の負担を軽減するために予備費から2881億円を割いた。政府は今夏、補助額を増やし、5千億円規模を見込む。

 26年度当初予算には、政府の裁量で使える予備費が1兆円計上されているが、補正予算を組まねば補助は続けられない。しかし現状のばらまきのようなやり方をこれからも続けるのでは、必要な財源は膨れ上がるばかりだ。

 公共交通網が発達した都市部とそれ以外の地域では、ガソリン代高騰が及ぼす影響の切実さが異なる。電気・ガス代補助も高所得世帯にまで必要とは言い難い。そもそも補助金を設けることで、需要の減少による値下がりを期待できなくなる。

 20日の党首討論では国民民主党の玉木雄一郎代表がガソリン代補助の段階的な引き下げを求めた。自民党幹部からも同様の声が上がる。政府は国債に頼らない財源を探るとともに、エネルギー価格の高止まりが続く事態を想定し、財政に目配りをしながら効果的な補助を持続させるための仕組みを考える必要がある。

 補正予算の編成に合わせ、首相は与党に今夏の電気・ガス代が昨年より安くなる支援策を講じるよう要請した。液化天然ガス(LNG)などの活用で電力の安定供給を確保できるとして、政府は今夏の節電要請を3年連続で見送る方針だ。

 公費で価格を抑え込む実態を覆い隠し、政府がエネルギー需要をあおるかのようなメッセージを発することには、強い違和感を覚える。