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 皇族数の確保を巡り、衆参両院の正副議長が「立法府の総意」案を取りまとめ、各党会派に示した。

 政府の有識者会議が提言した女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案と、旧宮家の男系男子を養子に迎えて皇族とする案をいずれも「了」とし、これに基づく法制化を政府に求めている。

 しかし肝心な点で対立は残り、総意と言えるかは疑問だ。制度設計や法案作成を急ぐ前に、両案の課題について議論を深める必要がある。

 皇室典範では、女性皇族は結婚に伴い皇室を離れる決まりだ。だが近年、皇族の高齢化と減少で女性皇族が公務の中心的な担い手となっており、結婚後も身分を保持する案にはほとんどの党派が賛同した。

 総意案は、皇室に残るかどうかは本人の意思を尊重するよう配慮を求めた。しかしその決断に影響する、夫と子の身分には言及しなかった。

 中道改革連合などは、夫と子にも皇族やそれに準ずる身分を付与するのが「家族として自然」などと主張し、自民党や日本維新の会は「女性・女系天皇の議論につながる」として反対した。合意を優先し、折り合わない点は曖昧なままである。女性皇族に皇室に残ってもらうなら、論争を決着させた上で、自由に選択できる環境づくりに心を砕くべきだ。

 一方、養子容認案には問題点が多い。11ある旧宮家の男系男子を対象とするが、約80年前に皇籍を離れ一市民として生きてきた人たちを国民が皇族として受け入れるかは見通せない。共同通信の5月の世論調査では、女性天皇を認める人は83%に達し、女性皇族の身分保持案が賛成73・9%だったのに対し、旧宮家の養子案は賛成43・7%、反対42・6%と賛否が割れた。

 皇室典範は政権や特定勢力の恣意(しい)的な介入を防ぐため、天皇や皇族の養子縁組を禁じる。小泉政権下で有識者会議がまとめた2005年報告書も「国民の支持が得られない」として養子案を否定した。今回も立憲民主党などは、養子案は「門地による差別」を禁じた憲法に反するとして慎重姿勢を崩さない。

 それでも自民などが男系男子の皇位継承にこだわり、養子案を「第一優先」とするのはなぜか。国民への説明は不十分だ。

 総意案で「養子は皇位継承資格を持たない」と慎重な制度を求めながら、会見で自民出身の森英介衆院議長は「養子の子が男子なら、皇位継承権を持つ」と踏み込んだ。反発は織り込み済みだろう。議論の積み重ねを軽んじる姿勢は看過できない。

 安定的な皇位継承策は積み残された。「国民の総意」を反映する議論の場を再構築しなければならない。