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 自民党と日本維新の会は、「副首都」構想の具体化に向けた法案を衆院に提出した。

 副首都構想は東京一極集中を是正する国の機構改革である。法案は、大規模災害時に東京を代替する機能や、経済成長をけん引する都市圏を設けることを柱とする。人口や経済の規模など一定の要件を満たす道府県の申し出を受けて、首相が副首都に指定する。指定されれば、国から規制緩和や税制上の特例措置などの支援を受けられる。

 政治や経済の過度な一極集中は、自然災害や感染症発生時のリスクを増大させる。首都機能の代替は喫緊の課題であり、狙いは理解できる。しかし、法案の理念や目的には曖昧さが目立ち、生煮えと言わざるを得ない。議論を深めるべきだ。

 看過できないのは、「大阪都構想」を看板政策に掲げる維新の強引とも言える動きである。

 都構想は大阪府市の二重行政解消をうたい、政令市の大阪市を廃止し特別区に再編する。賛否を問う住民投票が2015年と20年に同市民を対象に実施され、いずれも否決された。にもかかわらず、維新は昨秋の自民との連立合意書に盛り込んだ副首都法案に絡め、悲願達成へ三たび動き出した。

 副首都法案の原案に、維新は都構想実現に有利と見られる内容を加えた。付則で「都」への名称変更と特別区設置の賛否を住民投票で問えるとし、その場合は道府県全域が対象になるとした。

 住民投票の対象を大阪府民に拡大することで、都構想への賛成票を増やす狙いだろう。姑息(こそく)でご都合主義が過ぎる。憲法学者らから「住民自治を定めた憲法92条に違反する」との疑念が出たのは当然と言える。副首都とは切り離して議論するのが筋である。

 付則については自民から異論が相次いだため、高市早苗首相が住民投票の対象範囲を限定する修正を求め、維新が受け入れた。維新が来春実施を目指す都構想の住民投票は従来通り、大阪市民に限定される。

 吉村洋文大阪府知事(日本維新の会代表)と横山英幸大阪市長(同副代表)は、今年2月の衆院選に乗じて任期途中で辞職し、「都構想への信を問う」として知事・市長のダブル選に臨み、再選された。

 一方、自民など主要政党は候補擁立を見送り、無効票が投票総数の1割以上に達した。民意軽視が甚だしい。吉村氏は出馬予定の来春の知事選に住民投票の実施を重ねようとしているが、強く再考を求める。都市のありようを決めるのは政党ではない。そこで暮らす市民の意思を最優先するべきだ。