改正皇室典範がきのうの参院本会議で与党と、国民民主、公明など一部野党の賛成多数で可決、成立した。参院野党第1党の立憲民主党などは反対した。「立法府の総意」は崩れ、国民の理解が得られるかは疑問だ。
現行典範が認めていない「結婚後の女性皇族が皇族身分保持」と「旧11宮家の男系男子の養子縁組」が可能となる。養子の子孫が男性なら皇位継承権を付与するが、女性皇族は住民基本台帳に登録され夫や子は一般国民のままとなる。「男系男子」維持に固執し、「女性・女系天皇」への道を封じようとする、高市政権の意向を一方的に反映した内容と言える。
議論は先細る皇族数の確保を優先し、各党の見解が対立する皇位継承策は棚上げした経緯がある。衆参両院の正副議長がまとめた「立法府の総意」で、養子子孫の皇位継承資格の有無や、女性皇族の夫や子の身分を明示しなかったのはそのためだ。だが政府はその総意をいとも簡単に踏み外し、異論を残したまま改正案の成立を急いだ。国会軽視は看過できない。
憲法は象徴天皇の地位を「国民の総意に基づく」「世襲」と定める。現天皇と36~38親等も離れた養子子孫が皇位継承資格を持つ一方で、天皇の子である女性皇族やその子に資格を与えない改正典範に違和感を抱く国民は少なくないだろう。
象徴天皇制の根幹を揺るがす改正にもかかわらず、審議は衆参で計10時間程度にとどまった。数の力で強引に成立を図った与党の暴挙は厳しく批判されるべきだが、衆院野党第1党の中道改革連合の動きも理解し難い。養子案を問題視しながら採決では賛成に回った。政府の暴走を追認したに等しい。
女性皇族の身分保持については大半の党派が賛同した。しかし女性皇族を男性皇族と同列と見なさないかのような規定は、男女平等が自明となった国民意識の変化に逆行し、皇族数の確保に寄与するかも不明だ。
男系男子にこだわる限り皇位継承の安定性は望めない。付帯決議は安定的な皇位継承策を引き続き検討すると盛り込んだ。与野党は手遅れになる前に、弊害の多い改正典範の見直し、撤回に向け議論を尽くすべきだ。
























