米国、カナダ、メキシコで開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会が閉幕した。前回カタール大会から16チーム多い48チームが参加し、1カ月以上にわたり計104試合が行われた。ベスト4には、国際サッカー連盟(FIFA)世界ランキング4位までの強豪が順当に進んだ。決勝はスペインがアルゼンチンを破り、2010年以来2度目の優勝を飾った。
計10ゴールを決めて2大会連続で得点王に輝いたフランスのエムバペ選手と、39歳で計8点を挙げたアルゼンチンのメッシ選手との得点争いなど、世界を熱狂させるシーンが繰り広げられた。一方で、商業路線を最優先するFIFAの姿勢が際立ち、公正さを欠いた運営が批判を浴びるなど多くの課題も残した。
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森保一監督率いる日本代表は、8大会連続8度目の出場を果たした。チームは決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れ、ベスト32で終わった。過去4度阻まれた1回戦突破の壁はやはり厚かった。ただ、けがをした三笘(みとま)薫選手ら主力を欠き、久保建英(たけふさ)選手もオランダとの初戦で負傷する逆境の中で、1次リーグを2位通過した結果は健闘と言える。1次突破は3大会連続で、尼崎市出身の堂安(どうあん)律選手が「当たり前のように突破できるようになった」と語るように、日本の実力を示した。
初戦で得点した中村敬斗選手、チュニジア戦で2ゴールを決めた上田綺世(あやせ)選手、好守を連発したGK鈴木彩艶(ざいおん)選手らが輝きを放った。とはいえ、足りなかったのは強い「個」の力だろう。4年後に向けてそれぞれに技術に磨きをかけてほしい。
他国の対戦も見応えがあった。大会中に19歳になったスペインのヤマル選手、ノルウェーをベスト8に導いたハーランド選手らが目を見張るようなプレーを見せた。初出場のアフリカの島国カボベルデはスペインと引き分けるなどして決勝トーナメントに進出し、世界を驚かせた。イングランドがフランスに6-4で競り勝った3位決定戦も、激しい得点の取り合いが印象深かった。
汚点残した政治介入
残念だったのは、政治の介入がW杯史に大きな汚点を残したことだ。レッドカードを受けた米国選手が出場停止処分を1年間猶予され、次戦に出場した。これに関し、トランプ大統領はFIFAのインファンティノ会長に電話したと明らかにした。
トランプ氏は処分の再検討を求めただけで猶予決定には関与していないと強弁し、インファンティノ会長も「FIFAの司法機関は自律的に運営している」とかわしたが、異例の措置には違和感を禁じ得ない。そもそも開催国の大統領による口出し自体がスポーツの公平性を揺るがす行為である。FIFAは処分について納得できる説明をするべきだ。
トランプ政権は、米国と政治的に対立するイラン代表のキャンプ地を国外に変更させたり、入国を制限したりした措置でも反発を招いた。何よりも公正さが求められる開催国の姿勢として疑問符が付く。
FIFAは昨年、ニューヨークのトランプタワーに事務所を設けたり、「FIFA平和賞」を創設しトランプ氏に授与したりした。W杯の商業的な成功を目当てにしたものとみられるが、同氏へのすり寄りは目に余る。決勝後の表彰式では、同氏とインファンティノ会長に向けて客席からブーイングが起きた。世界中からの批判を代弁したものである。
商業主義に歯止めを
今大会では、競技の場にふさわしくない運営が目立った。決勝戦であった米国流のハーフタイムショーは、多くの歌手を登場させたため長引いた。15分と定めた前後半の中断は27分を超え、選手を待たせた。
暑熱対策も反省点を残した。前後半の途中に新設された飲水タイムは空調が効いた試合でも実施された。その間に流れる広告料目当てではと、関係者から疑問の声が上がった。水分を補給しても暑さで消耗する選手が多く、抜本的な対応が要る。
需要に応じてチケット価格が変動する制度は高額化を招いた。数十万円、数百万円のチケットも出たという。富裕層しか観戦できないような事態は異常と言うほかない。
人権保護などを進める国際機関、欧州評議会のベルセ事務局長は「金と権力」が今大会に危機をもたらしたと述べた。W杯はあくまで選手のものだ。大会の姿をゆがめる商業主義や政治介入には、早急に歯止めをかけねばならない。FIFAは厳しい指摘を受け止め、運営改善に向けて問題点を検証してもらいたい。
























