発生からきょうで2週間となる熊本地震は、企業が非常時に備えるのはもちろん、備えの中身を不断に点検、更新することの重要性を改めて突きつけた。
イオンモール熊本と日本製紙八代工場で従業員らが犠牲となった惨事は、社会に大きな衝撃を与えた。2社は原因を徹底的に検証し、得られた教訓を産業界で共有して各社の防災対策に生かす必要がある。
7人の死者を出したイオンモール熊本の爆発は、地震で建物内の配管が損傷し、漏れたLPガスに着火した可能性が指摘される。イオンは外部の専門家でつくる事故調査委員会を設け、原因究明と再発防止策の検討に当たる。
全国各地で大型商業施設を運営するイオンは、防災対策の実効性向上に継続的に取り組む企業として知られていた。イオンモール熊本は地域の防災拠点の一つだった。地震後に停電したものの、普段の避難訓練が奏功して計5千人近い客と従業員は30分ほどで退避した。しかし、その後に館内に戻ったテナントの従業員が爆発の巻き添えになった。
イオン側は「避難した者は館内に入らないのがマニュアル」と説明するが、売上金を金庫に移すために館内に戻るよう指示したテナントもあった。イオンが直接雇用していないテナントの従業員に対しても、マニュアルは徹底されていただろうか。テナントや協力会社など所属が異なる人が働く職場で全員の安全をどう守るかが問われよう。
日本製紙八代工場では、高さ80メートルの煙突が折れて事務所を直撃し、社員や空調メンテナンスのスタッフら計9人が亡くなった。煙突は1970年に建てられ、最後に点検したのは20年前という。2016年の熊本地震後に補強していた。日本製紙は専門家を含む調査委員会で耐震強度に問題がなかったかを検証する。
高度成長期に建設され、老朽化が進んでいる大規模工場は少なくない。川の河口近くや埋め立て地などの軟弱な地盤に立地している場合は、揺れが大きくなる可能性もある。製造各社は、工場の耐震対策を早急に見直してほしい。
一方、16年の地震による被災を教訓に、飲料や食品のメーカー数社はいち早く熊本県外の工場での代替生産に切り替えた。自動車メーカーは一部の社を除き、部品供給の継続に努めるなどして早期に工場を再開した。携帯電話の4社は、支援が重複しないように分担して避難所などの通信環境を確保した。
自社のみの防災対策では不十分だ。サプライチェーン(供給網)や業界、自治体などと平時から情報共有や連携に努めることが欠かせない。
























