神戸市内で使われている水道メーター。銅を含む合金でできている=神戸市水道局提供
神戸市内で使われている水道メーター。銅を含む合金でできている=神戸市水道局提供

 住居に取り付けられる水道メーターの盗難事件が兵庫県内で相次ぎ、被害は今年4~8月に神戸、播州、阪神間の8市で計381個に上ることが神戸新聞社の取材で分かった。また、水道メーター検針員からの依頼をかたって架空の工事料金をだまし取る新手の詐欺事件が神戸市内で未遂を含め5件発生し、うち1件で数百万円の被害が出たことも判明。生活インフラが犯罪の標的になっている。(尾仲由莉、原ひより)

 窃盗事件は今年4月1日~8月19日の確認分を県内全41市町から聞き取った。うち8市が被害に遭い、381個はいずれも検針員や住人の問い合わせで発覚。大半は集合住宅の空き室に設置されたものだった。

 内訳は、少なくとも姫路市175個▽明石市67個▽神戸市54個▽加古川市43個▽伊丹市14個▽西宮市12個▽尼崎市11個▽宝塚市5個。

 多くの水道メーターには銅と亜鉛の合金「真ちゅう」が使われており、銅の取引価格高騰を背景に転売目的で盗まれたとみられる。

 神戸市内では、西区と垂水区に集中しており、8月には須磨区でも発生した。6月までは一つの集合住宅群で6~13個と多数の被害が確認されたが、7~8月には1個だけの被害も散発するようになった。

 水道メーターの多くは「専用ボックス」か、ガスメーターなどと一緒の「パイプスペース」に収納され、大半は施錠されていない。

 取り外し時には接続パイプから水が漏れ、下層階の給水に影響することがある。このため、市は犯人側が発覚を警戒し、一度に狙う個数を抑えるようになった可能性もあるとみている。

 市は集合住宅で今後使われないと判明した水道メーターは撤去している。ただ「人員や労力の問題もあり、被害急増に追いついていないのが実情」という。

      ◆   ◆

 詐欺事件は3~5月、神戸市内で5件が確認された。こうした手口を市が把握するのは初めて。

 「検針員から水漏れの報告があったので派遣されてきました」。市西部で暮らす女性は3月、自宅に現れた作業着姿の人物からそう伝えられた。

 女性が「水道局から業者が派遣されることはないはず」とただすと、「市の方針が変わった」「検針員の確認で業者が行くことになった」などと説明された。

 女性はいぶかしく思いながらも受け入れると、水道メーターの付近から水があふれていると指摘される。その後、庭や床下からも漏水が見つかったと言われ、そのたびに「工事」を実施し、合計で数百万円を支払った。

 高額な請求が続き、自宅を担当する検針員に問い合わせて詐欺が発覚。そもそも工事の必要はなかった可能性があり、料金は相場の5~10倍を請求されていた。

 市によると確認分の5件は、住宅街の一戸建てに作業着姿の人物が訪ねてくる点が共通している。また県外でも発生しており、正規の検針作業が終わったタイミングを見計らい、ポストから検針票を回収して訪問してくる手口もあった。

      ◆   ◆

 神戸市は詐欺について「検針制度の信頼性を逆手にとった悪質な犯罪」と警戒を強める。街頭キャンペーンを開き「住人からの依頼なしに業者が訪問することはない」「水回りのトラブルがあれば、複数の業者に見積もりをとってほしい」などと呼びかける。

 また各市によると、検針員は業者であっても、必ずユニホームを着用し、自治体発行の身分証明書を携帯している。市民が不審者に気づいた場合は、自治体に連絡するか、警察に通報するよう求めている。