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 2027年度政府予算の概算要求がまとまった。一般会計の要求総額は143兆円前後と26年度当初の122兆円から20兆円以上も増え、過去最大を更新した。金額を示さない「事項要求」も多く、実際の予算規模がさらに膨らむのは必至だ。

 「責任ある積極財政元年」を掲げる高市早苗首相の財政拡大路線に沿って新たな成長投資枠に上限を設けないなど、要求の歯止めを大幅に緩めたためだ。世界最悪レベルの財政状況にあるのに、これで財政規律が保たれるのか。借金である国債の発行増や将来の増税として国民につけが回る恐れがある。真に必要な歳出か否か、財務省は聖域を設けず徹底的に査定してもらいたい。

 概算要求に際し、首相や片山さつき財務相は各省庁からの要求の上限となる「シーリング(天井)と呼ぶべきものはない」と表明した。総額は25年度補正と26年度当初の合計額140・6兆円を上回った。人工知能(AI)などの成長分野を対象に新設する投資枠への要求が青天井になったからだ。とりわけAI、半導体などの成長分野を抱える経済産業省は昨年の2・5倍となる約7・8兆円を要求し、投資枠が約8割を占める。必要性に乏しい政策まで紛れ込ませていないか精査が要る。

 編成が常態化している大型の補正予算を抑制し、当初予算重視を各省庁に指示したことも要因だ。査定が緩みがちで必要性や政策効果が疑われるものが少なくない補正依存からの転換は評価できるとしても、安易な積み増しは許されない。過去の政策の成否も検証せねばならない。

 注視すべきは飲食料品の消費税減税である。27年4月から2年間、税率を1%に引き下げれば年5兆円程度の税収が失われる。国、自治体の税収減を補う手だてははっきりしない。年末の安全保障関連3文書改定を踏まえて決める防衛費は事項要求も目立ち、計上した8・9兆円を上回る公算が大きい。好調な企業税収に頼るだけでは持続的とは言えず、国債に依存すれば次世代に背負わせる債務は増えるばかりだ。財源の裏付けを示すのが政治の責任である。

 金融市場では高市政権の積極財政路線による財政悪化への懸念がくすぶる。1日には長期金利が急伸し、約30年ぶりに3%の大台を超えた。国債発行残高は約1100兆円に上る。国債の元本償還と利払い費の要求額は36兆円を超え、財政を圧迫する。金利上昇と円安の進行は財政への信認低下と向き合わない政権に対する市場からの警告と言える。

 このままでは国民や企業の負担が増し、物価高対策の効果を相殺しかねない。政府は歳出を抑制し、財政規律の立て直しに注力するべきだ。