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 中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)の廃炉作業で、その費用請求に関する不適切な手続きがあったと同社が発表した。2024年度分の14件の書類で実績と異なる数値を記す改ざんがあったという。同年度の廃炉費用として受け取った約11億円のうち、約8億円分が不正な手続きによるものだった。

 過大な受領だったかどうかは確認中としているが、不正な手続きがあったこと自体が重大な問題である。断じて容認できない。

 浜岡原発を巡っては、3、4号機の再稼働審査で、耐震データが不正に操作されていた問題が今年1月に発覚した。原子力事業を進める部門の中で、複数の部署がそれぞれ別の不正に手を染めていた。法令順守の意識が極めて低い組織風土があるとしか思えない。

 東京電力福島第1原発事故でも明らかになったように、原発に問題が生じれば、周辺住民のみならず国全体に多大な被害をもたらす。原子力事業には大きな社会的責任が伴う。中部電は、データ不正と手続き不正という二重の不正によって信頼を失墜させた。原発を扱う適格性に疑問を抱かざるを得ない。

 廃炉の費用は、作業の進み具合に応じて、経済産業省の認可法人である使用済燃料再処理・廃炉推進機構(青森市)が支払う仕組みだ。今回の不正に関わっていたのは、浜岡原発内の廃止措置計画課の複数人で、同機構に提出する工事報告書の写しを改ざんしていたという。組織内の誰からも疑問の声が上がらなかったのか。

 1月に発覚したデータの不正操作は、想定地震の最も大きな揺れを示す「基準地震動」の策定に関わるものだった。原発の安全を揺るがしかねない不正である。今回、中部電は「安全性に直接影響を及ぼすものではない」と釈明する。しかし重要な請求手続きで書類を改ざんし、公正さを保てない企業に、安全性への高い意識を求めるのは難しい。

 改ざんした理由について、中部電は「計画通りの数値にしたいという意図があった」などとした。到底納得できる説明ではない。経産省と使用済燃料再処理・廃炉推進機構は中部電に対し、不正の事実関係などを報告するよう求めた。もし受領額を増やす目的で廃炉作業が実際より進んだように報告していたとすれば、問題は深刻さを増す。

 データ不正では、原子力規制委員会の調査開始後も操作を続け、規制委に「不正隠し」と指弾された。今回は徹底的な社内調査を進め、判明した事実を全て明らかにしてもらいたい。国民の厳しい目が向けられていると中部電は自覚するべきだ。