地域住民が日常的に利用する「生活道路」の法定速度が、9月の道交法施行令改正に伴い60キロから30キロに引き下げられた。子どもや高齢者が安全に行き来できる道路環境は、地域社会が目指すべき姿だ。行政と警察が協力し、住民の生命を最優先する意識を全てのドライバーに徹底させる必要がある。
生活道路は、幅がおおむね5・5メートル未満の狭い一般道で、センターラインのない道などを指す。全国の一般道の約7割が該当するとみられる。徒歩や自転車の住民が日常生活で使う一方、抜け道として走る車も多く、死亡事故が続発している。
警察庁によると、時速50~60キロの車が歩行者にぶつかった場合の死亡率は17%だが、20~30キロであれば1%未満に激減する。住民の安全を守るため、法定速度を大幅に引き下げるのは理にかなっている。
一方、生活道路でも標識や路面標示で最高速度が指定されている道では、今後も標示が優先される。センターラインや車両通行帯がある場合は生活道路に該当しないため、法定速度は引き続き60キロのままだ。
生活道路には法的な定義がなく、制度自体も十分に理解されているとは言い難い。そのため行政と警察が改正内容の周知に努めなければならない。カーナビが渋滞時の迂回(うかい)路として生活道路を推奨しないよう、開発業者に働きかける必要もある。
兵庫県は1970年代に生活道路の独自規制を設け、交通量の多い瀬戸内海沿岸の14市4町で法定速度を40キロに制限してきた。今回の制度改正に合わせて独自規制の廃止を決め、県警は数千カ所にあった「全域40キロ」の標識を撤去した。
独自規制により、住民の死傷者を減らしてきたこれまでの取り組みは高く評価できる。これからも生活道路の安全対策の「先進県」として、30キロの順守を根付かせたい。
7月の道交法改正に伴い、悪質な交通犯罪に適用される危険運転致死傷罪の基準は、制限速度60キロ以下の道路では「50キロ超過」と明文化された。これでは生活道路でも80キロ以上でなければ同罪が適用されない。政府は事故発生状況を精査し、早期の制度改正も検討すべきだ。























