小学校、中学校、高校で学ぶ内容を定める学習指導要領の改定について審議している中教審の特別部会が、全体像の素案を公表した。
大きな変更点は主に二つある。人工知能(AI)の飛躍的な発展を受け、情報活用能力を育むために授業でAIを使うことを初めて盛り込んだ。もう一つは、不登校や発達特性など多様な背景のある子どもの学びを深める観点から、小中学校が柔軟に時間割を組めるように現場の裁量を広げた。
多様な子どもたちが互いに高め合いながら豊かに学べる学校をつくるための試行錯誤そのものが、民主的で持続可能な社会の担い手を育てる上で大きな価値を有する-。素案はこう記す。
「多様性の包摂」は、2023年施行の「こども基本法」に沿う理念でもある。教育関係者が共有することが重要だ。国には、具現化するための仕組みづくりや学校への支援強化が求められる。
指導要領はほぼ10年ごとに改定される。次の指導要領に基づく授業は小学校を皮切りに30年度から順次始まる。ただし、情報教育は小学校で28年度、中学校で29年度からの先行実施を目指す。
AIの活用では、英会話の練習相手にしたり、算数や数学で個人の理解度に合わせた問題を出すアプリで復習したりする例を挙げた。併せて、小学校の「総合的な探究の時間(総合的な学習の時間を改称)」に「情報の領域」を新設し、中学校の技術・家庭科を「情報・技術科」と家庭科に再編する。
デジタル技術の取り扱いに加え、過度な依存や偽情報の拡散といった負の側面も学ぶという。AIにすぐに答えを聞くのではなく、子どもたちが自ら考え、思考を深められるよう、教える側の工夫が要る。情報の正誤を見極める目を養うことも欠かせない。教員の研修を充実させ、外部人材も活用しながら指導力を磨いてほしい。
小中学校の裁量拡大では「調整授業時間数制度」を新たに設ける。教科別に定められた年間こま数を、学校の判断で最大15%減らせるようにする。浮いた時間を別の教科や教員研修などに充てることができる。
08年の指導要領改定で「脱ゆとり教育」にかじを切って以来、学習内容は増える一方だ。教員らからは、子どもたちと向き合う余裕を持てるよう、学習量のスリム化を求める声が上がる。現場が疲弊すれば、指導要領が目指す「自らの人生をかじ取りする力」を育むことは難しい。文部科学省は学力低下を招かない工夫をしつつ、学ぶべき内容を精査し、絞る必要がある。























